The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

チャフの焦げと渋みの関係

季節が代わり気象条件がかわったこともあってか、冬の時期の焙煎の自分なりの常識というか方法がまったく通用しなくなってきておりまして、苦戦しています。

それで、これまでいろいろな方がコーヒーの焙煎についておっしゃっていることを参考にしてきましたが、どれもどこかピントが外れているような気がしていました。

チャフ臭がするのは排気が足りないとか、渋みが出るのは排気強いからと仰る方がいたり、チャフは洗って落とすのが正当と言われる方がいたり様々です。確かにチャフを洗い落とすとスッキリするのは確かです。これは明らかにクリア感が増します。

いわゆる中深煎以降のスモーキーな感じ。何かが焼けこげたような感じにはチャフの影響が大きいと思っています。この場合、特に濃くいれ過ぎると飲みにくくて煙臭くなってしまいやすいので、個人的にあまり好きにはなれません。どういう飲まれ方をするかわからない豆売には向かないというのもありますが、個人的に、なんだか、煙突の掃除できてる?と思ってしまったりします。

あの感じはあまり好きではないんですが、同時にかすかに甘みを引き立てるように口の中から漂ってくる香水にも似た香りは深煎りにはどうしても必要なものとも思っていまして、これにもどうもある程度、チャフが役割を果たしているように思います。’洗ってみるとチャフがほとんど出ない代わりにあの独特の芳香はほとんどなくなってしまいます。

で、なんとかチャフが焦げないようにしたいのですが、それでいろいろやっていると、今度は火力が足りなくて独特の渋みが少なからず顔を出そうとします。それではと火力をあげると今度はハゼのタイミングが狂ってきます。それでしかたなく排気をあげると、またまたあの独特の芳香は影を潜め、物足りないコーヒーになったりします。

チャフが焦げず、なおかつ適度に燻製の燃料みたいに燻される条件を整えつつ、必要十分な火力を与える。しかもそれをそれぞれに豆の特性に合わせて実施する。数値化して制御しようとするととんでもなく複雑になる可能性もありますが、今日、極めて単純なことに気がつきました。

昨日メインのセンサを熱の追従性を高めるために改良したのですが、そのためか、焙煎中に誤動作を起こしてしまい、仕方なく、ドラム内温度と豆の匂いや色を頼りに焙煎していてわかったこと。

単純に匂いだけに注目した方が以外に早道であるということ。チャフがこげかかっていればそれはすぐに匂いに現れるし、良い具合に燻されているなら、そこそこ燻製っぽい匂い、ちょっとお香とかにも通じる格調高いような?匂いになります。逆に渋みができる条件だとかなり不快な嫌な匂いが混じってきます。その時は、火力や排気を迷わず大胆に動かして、気持ちの良い乾いてゆく豆が自然に発散してゆくような香ばしい匂いに変わるのを待ちます。

もちろん、温度などの情報はあった方がいいとはいえ、その時点での豆の温度にこだわってチャフに火がついたり、煙って気がつかないのも困るし、いつまでも水分が飛ばずに、蒸しあがった野菜炒めみたいになっているのを見逃すのはもったいない。

この辺りは料理にも通じるところがあって、例えば炒め料理なら適切な強火であれば、良い匂いと適度な焦げ目がつく、そうでない場合、いくら時間をかけても大して美味しくならないとか。あるいは、煮物でじっくり火を通すなら、ゆっくり温度を上げていって、野菜に火がとおって、独特のほくほくした匂いがしてきた頃合いで、念のため、箸を通してみたりして、火が通ったのを確認してから、早めにコンロから下ろして煮過ぎるのを防ぐとか、そういったことにも通じる単純な見分けが今使っている小型の焙煎機の場合有効で、むしろそれをメリットとして、いろいろなスタイルで臨機応変に煎り分けるべきだということに思い至ったのです。

大型の排気の強力な焙煎機だと却ってダイレクトに豆の発散する匂いを嗅ぐのは難しくなるし、小回りがききにくいので、その点は蓄熱性の低いこの焙煎機のメリットとして、むしろ積極的に活用しないと損だと思うのです。

コーヒーの場合、焙煎機の特性や煎りこみたいコーヒーのスタイルによって、料理でいえば、炒め物と煮込みもの以上の差がそれぞれのやり方によってあるように思います。

当方の焙煎機の場合、業務用の焙煎機に近い部分と手網に近い操作もできる部分が共存しているのですが、やはりある程度、この機械なりのやり方で通さない限りうまくいかないようです。

そもそもこのタイプを選んだのはアイドレンドファクトリーさんの公開されている情報がそのまま生きると思ったからですが、自分で改造してしまったので、その点についてはほとんど意味をなさなくなってしまっています。