The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

焙煎機の余熱について考える ②

たとえば、プロバットのような評価の高い焙煎機はドラムだけでなく、本体自体にほとんど過剰なまでの蓄熱性を持たせています。

確かに北国で発達した焙煎機と言う側面はありますが、果たしてそれだけなのか、ずっと疑問に思ってきました。

蓄熱性が高ければ、それだけ安定するまで余計なエネルギーが必要となる上に、蓄熱した分のエネルギーに振り回されて、思い通りの焙煎ができなくなるはずです。

それに今の技術であればプレス部品を組み合わせた方が、軽量でコストも抑えられるはずなのに、そうしないこと。

その点、比較的大型の熱風を循環させる仕組みを持たせている焙煎機の場合、蓄熱性がないことを反対に売りにしていたりします。

いったいどうなっているのか。

これだけいうと、まったく正反対のようですが、どちらのアプローチも、正しいのです。そのキーは密封性にあります。

熱風を基本循環する仕組みにすると、自然と焙煎機はある程度高い機密性を持つことなりますので、エネルギーが循環する分、システム全体である程度の蓄熱性を持っているのと同等になります。

ですから、余分な蓄熱は不要です。ただし、焙煎機全体が暖まるにはそれなりに時間が必要になると思われます。

一方、プロバットのような鉄の塊のような焙煎機の場合は、焙煎機の隙間から入り込んでくる空気の影響まで厳密に考慮して設計されているのではないかと思われます。

代理店は半熱風とかいって、売っているかもしれませんが、プロバットのような焙煎機はフジロイヤル の半熱風とは随分考え方が違い、熱風を循環させない、熱風式と言った方がいいくらい、基本、一定した空気流れが入り口から、出口まで、一本の道でスムーズに流れようなしくみになっているものが、多いようです。ですから、それ以外の隙間から空気が流入したりしては困るわけです。

しかし、金属は温度により、膨張したり、収縮したりして、どうしてもギャップから、空気が流入したりします。その影響は無視できないはずなのです。

その点プロバットのような蓄熱性の高い焙煎機であれば、隙間を通って、くる前に、本体の熱で十分に温まっているうえに、十分に余熱して、温まった状態で本体のギャップが最小になるようにしっかり作り込まれているために、余熱さえできれば、安定して、しっかり機能する、そのことのために、あの馬鹿でかい図体が必要なのだと言うことなのです。

その点、大阪のような温帯の穏やかな気候で作られているフジロイヤル はおおらかで、オープンな仕組みになっているのような気がします。まあ、その分、ブレが大きいと言うか、変化がつけられるというか、またそこを微調整しようということもあって、ダンパーがあったりするわけですけど、それがまた、焙煎を複雑に、あるいは多様性を持たせることにも繋がっていたり、日本オリジナルの焙煎に繋がっているかもしれない部分だったり、するわけで、おもろいところであるとともに、少々厄介な部分だったりする。そういうことでないかと思うのです。