Coffee Beans Kurochamame

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珈琲豆の外観の焙煎への影響について先に検討してみる

先に、豆の形状、大きさなどコーヒー豆の外観がどう焙煎に影響するか考えてみたいと思います。その理由については後述。

まず一番、影響しそうなのは、間違いなく、大きさでしょう。

ここでは先に、熱が豆の中にどうやって伝わるのかを考えてみたいと思います。

豆を温めるのは、ドラムやフロントパネルからの伝熱とバーナーで温められた熱風が主体です。半熱風でも輻射熱は生じますが、波長の分布は長い波長に偏ります。直火の場合、一部の赤外線は豆の芯まで到達し、突き抜けることもあると思われますが、そのほとんどは表面近くで吸収され一部は反射されるので、豆は大部分のカロリーを表面から受け取ることになります。

表面積が大きいほど、たくさんカロリーを受け取ることになります。また体積が大きいと温まりにくい。それだけ熱容量を持っていることになります。

体積は3乗の係数、表面積は2乗です。ということは、同じ形の豆同士であれば、大きい方が単位体積あたりに受け取る熱は少なくなり、温度が上がりにくく、いったん温まると冷めにくくなります。

つまり、1粒単位でみれば、単位時間当たりより多くのカロリーを受け取れないと、小粒の豆と同じ焙煎にはなりません。すなわち、高い温度に晒される必要があります。

もし、それができないときは、長時間焙煎にならざるを得ないわけですが、時間をかければそれでうまくいくというわけでもなく、また高い温度をかけるとそれですべてがうまくおさまるわけでもないでしょう。

といいますのは、豆の表面から内側に熱が伝わるペースは豆自体の物理的性質でおおよそが決まってしまいますし、水分量がおなじとすれば同じように育った豆同士であれば、大きな豆は高い温度に晒されて、表面近くがこげても中までは温まっていなかったり、逆に時間をかけすぎて、介在となる表面近くの水分が抜けてしまって、どんどん熱が伝わりにくくなったりといった調子で、焙煎はシビアになってゆくことが予想されるのです。火力など途中である程度の修正が必須となるケースが出てくるかもしれません。また(別の焙煎を狙うならいいのですが)ある程度焙煎時間を延ばさざるを得ない状況が生じやすいと思われます。

この点は、(おいしいかどうかは別として)豆は小さな方が煎りやすいといえると思います。(行き過ぎやすくてその点、煎り止めはシビアになる)

細かくは、後述しますが、もし豆の密度が低くて、極端に大きければ、焙煎はさらに難しくなるでしょう。(コロンビアが難しいという説がありますが、このことを指しているのかもしれません。)

ただし、その反面、大粒ならではのメリットがあるとしたら、より熟しているとか、油脂分が多くなるとか言われる部分以上のところにも、あると思われます。

特に長時間で深い焙煎に持ち込みたいとき、大粒で豆の内部に水を貯めこんでいるということは、その潜熱で内部が常に冷やされているということでもあります。発熱反応といわれる2ハゼの最中、暴走すると、間違いなく、豆の成分は煙となって消えてしまうわけですが、上手にこの反応とバランスをとれば、焙煎の後半の内部の温度上昇を最小限に抑えて、成分の揮発を防ぐことが。おそらくはできるでしょう。しかも、内部の発熱反応によって、いわゆる生焼け。芯まで火が通らないという状況を防げるかもしれません。豆が大きい分、そのような絶妙な条件を比較的長い時間保てるという点で、そういった深い焙煎ならではの風味を出す上では有利になるかと思います。

ですから、ある程度の深煎りの絶妙なところを狙いたい場合は、やはり大粒もしくは少なくとも小粒でない豆でなおかつ固めの銘柄を選ぶのが好ましいのではないかと思います。

もっとも、こういう豆というのは往々にして、少し浅めの焙煎であってもうまく火を通せば、しっかり育った豆の良さが生きる場合が多く、やはり深煎りはもったいないと、いう結論になりかねません。

本当の意味で深煎りする甲斐のある豆がめったにないといわれることがあるのは、こういうことではないかと思います。

 いずれにせよ焙煎したことのある人間にとっては、ごく当たり前の話ですが、焙煎そのものをスムーズに行うには、水分量と同じくらい、もしくはそれ以上に粒が揃っていることが大切になるということがいえます。(それでおいしくなるかどうかはまた別の話ですが。)

 またカロリーの観点でいえば、粒が大きくなればなるほど、火力を上げて高温にするか、長時間焙煎しなくてはならなくなる可能性がでてくるとすれば焙煎機の消費する総カロリーは多少なりとも増大すると思われます。通常の加熱ですと、対象物との温度差があった方が加熱は早いのに、しかもトータルの焙煎量は同じにもかかわらず。現実問題としては、熱が伝わりにくい状態が生じやすいのです。(深煎りでの焙煎の後半は逆のことが起こりえます)

ところで、大きい豆というのはより熟していて、油脂が多いなどの成分の違いがカロリーの伝わり方に与える影響はそれなりにあるはず。もっともこの辺りを問題にすると、産地や品種、栽培による差が大きく、無視できなくなってしまいますので、検証は、未来のコーヒー研究者にゆだねたいと思います。