Coffee Beans Kurochamame

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芳香成分を分解する Part II

ところで、においとくさいの区別は個人差があったり、あいまいというだけでなく、実はかなり相対的なものです。

一般に不快とされる成分もごく微量であれば好ましいと感じられる場合がしばしばあり、逆に、好ましいといわれれる成分もあまりに過剰であれば不快感となります。

ですから、ここは特別に区別することはしないことにします。すると、残るは3つです。

A 鼻先で感じる単なるにおいまたは漂ってくる香り、B 主に口腔内で感じられるにおいまたは味の一部、C 揮発性の高い成分による特徴的な芳香の3つです。(もちろん、このうちでも、特にAとCは成分の濃度の差という相対的なものであるかもしれません)

これらはあくまでも言葉の世界のことですので、もうすこし別の切り口から、香りの成分について考えてみます。

すべての香りに当てはまるかはわかりませんが、少なくともコーヒーの香りの成分に限っていえば、

1.エッセンシャルオイルのように油に溶けやすい成分

2.ローズウォーターのように水に溶けやすい成分

3.すぐに空気中に発散してしまうような揮発性の高い成分の3つがあると考えてよいでしょう。

特に3番目は失われやすいもので、コーヒーの場合、多くは炭酸ガスの中に溶け込む形で存在しているのではないかといわれています。そうでなければ、焙煎後の冷却終了前にほとんど失われているはずだからです。

さて、油に溶け込む成分が熱いお湯に触れて、空気中に押し出されてくるというのはおそらくあるとおもいます。ですから、ある程度の湯温で抽出することが香り高いコーヒーを淹れるにはどうしても必要で、その点、水出しは不利ということになります。

水に溶けやすい成分については、そのまま水出しのようにしても出てくくるはずです。確かに水出しをすると、お湯でいれた場合にほとんど目立たなくなる、ドライの香りそのままの成分が、抽出直後なら感じられる場合が多くあります。

3番目の成分については豆が膨らむ状態でないとおいしいコーヒーでないという意見が多いことに反映されていることに尽きると思います。

多くの人が香り高いコーヒーと感じる成分の大部分はこの3番目の香気成分であるかもしれません。

A、Cと3(炭酸ガスに溶け込む揮発成分)が関係が強そうなことは大体類推できると思います。鼻先だけでも感じられたり、比較的強く特徴的な香りです。

2(水溶性)については香りよりも舌で感じる味に影響しているかもしれませんが、あえていえば、主にB口腔内で感じられる香りに主に関連しているでしょう。水蒸気に香りが付くということがないとはいえませんが、たとえば精油の副産物としての精製水の生産現場とか、かなりの濃度が必要でしょう。

1(脂溶性)については、おそらくですが、いわゆる口中香といわれる口からは鼻に抜けるような形で感じられる香りや、口の中でゆっくりコーヒーを転がしたときに感じる深みのある香り成分の主体となっている可能性があります。おそらく芳香族といわれる、芳香成分も多く含まれていると思われますので、3と1はかぶるかもしれません。

それぞれが微妙に重なっていて、明確に分けることは困難ですが、1,2,3は人間が感じるコーヒーの香りの要素をほぼカバーしていると考えてもよさそうです。

そこで、今回、コーヒーの香りの成分を引き出す焙煎について考察にするにあたっては、あいまいさを防ぐために、

1、水に溶ける成分であるか(フレーバーに関連する)

2、油に溶けやすい成分であるか (おそらく口中香に関連する)

3、炭酸ガスに溶け込む成分であるか(鼻で感じる香りにもっとも関連が深い)

の3つの点に絞って考えてゆきます。