The Coffee Roaster House

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芳香の成分を分解する Part III

芳香の成分を、脂溶性、水溶性、炭酸ガスと親和性のある成分の3つに分けて考えていこうという提案をさせていただきましたが、これはあまりにおおざっぱと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、例えば、アルコールは油にも水にも溶けます。そこで、順列組み合わせで、

ABC AB BC AC A B Cとすると、合計7つのパターンがありえます。

たとえば、ABCは水にも、油にも、炭酸ガスにも溶け込む成分といった具合です。

あるいは、ABCのいずれにもほとんど溶け込めない成分というものもかんがえてもいいかもしれません。(その場合は8つになります)ただし、おそらくですが、人間の感覚の中では最初にある閾値を超えた成分で判別される(先着優先ですね)ために、例えば、炭酸ガスと親和性があったり、揮発性のある成分が鼻先にくればその印象が全体の香りを決めてしまうと思われますので、大まかではありますが、最初に鼻先に届くか、鼻に抜けるような成分が感じられるか、、口の中でフレーバーが感じられるかという点で3つに区切っても実際上は大きな問題ないと思われます。

ところで、ずっと他の栄養素と違って、脂質を感知する味蕾がないのはどうしてかと疑問に思っていたのですが、ここまで考えてみてはっきりしました。

脂肪にも必須脂肪酸というものがあって、糖質や必須アミノ酸と同じくらい重要なのに、その存在を知るための感覚が用意されていないのは一見、不思議です。

しかし、その理由は考えてみれば明白です。といいますのは、ほとんどの天然の脂質は、何らかの芳香成分を含有しています。一部の工業的に生成された油は例外としても、ほとんどの場合、バターにはバターらしいかおりが、オリーブ油にはオリーブ油らしい香りがついています。ですから、その芳香成分があることで、油分の存在を知ることができるわけです。だから、脂質を検知する専門の器官をもつ必要はなかったわけです。

天然には純粋な油というのは存在しえないこと、芳香成分をかなりの割合で含んでいるということです。

ただ、オイル感みたいのものを単なる舌ざわり以上の感覚で感じることはあるとおもうので、何らかの形で感知する仕組みは、味蕾の他にあるのかもしれません。