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芳香物質で溢れるこの世界② Why do birds sing and honeybees dance

この世にありとあらゆる花が咲いており、また果実は一部、例外はあっても、人間にとってかぐわしい匂いを発している。

自然界の一部の揮発性物質は不快なだけでなく、実際に有害であったりするでしょうが、それらを除くと、この世界はありとあらゆる芳香性物質であふれていて、人が花を育てたり、愛でたりするのは、もちろん、その姿かたちを楽しむためでもあるかと思いますが、その香りに惹かれるからでしょう。

どうしてこのようなにおいが花につきものなのか、そして、どうして人間の嗅覚がその匂いに敏感で好ましいと感じるのかについて、昆虫や鳥をヒントに引き続き考えてみたいと思います。

さて、せわしなく、花の間を飛び回っているハチドリはどうして疲れず、飽きもせず、あのような行動を延々と繰り返すことができるのでしょう。

ミツバチにしてもどうして、そこまで働き者であり続けることができるのか。

そのヒントはやはり、芳香物質の中にあるのではないかとくろちゃまめは思うのです。

花が受粉を手伝ってもらう行為の代わりに、蜜を提供するというのは、人間社会の感覚でいえば、いわばギブアンドテイクの関係です。

しかし、それだけでしょうか。

あくまでも、仮説ではありますが、花が発する芳香性物質は植物が自らの生息域を拡大し、増殖する手助けをしてくれる動物に対する、rewardとして世界に放っている芳香成分であるとともに、おそらくは同じ仲間に対するある種のメッセージを含んでいる。またそれ以上に、基本的に動物にとって大きな喜びをもたらす成分を周囲に発散することで自然の大きな仕組みを支えている、そういうことではないかと思うのです。

ハチドリは何よりも、その香りに包まれているのが、うれしくて植物の周りを喜びをもって飛び回っているのではないでしょうか。単なる快感に終わらない喜び。実際に、例えばハチドリが疲労を回復したり、元気を取り戻すような成分がそれらの芳香物質の中に含まれているのかもしれません。

ミツバチにせよ、様々な花を飛び回って飽きないのは、花の香りの中にミツバチの活力を向上させる成分がたくさん含まれているからではないでしょうか。そして、それぞれの花ごとに違う成分は発せられていて、それぞれの魅力があり、たとえば、滋養強壮ではないけれど、栄養ドリンクみたいな成分に包まれていたり、といったことさえあるのかもしれません。

このように考えると、けっして、仕方なく、蜜を集めているわけではなくて、花に触れること自体がミツバチにとって大きな喜びであり、楽しみであり、擬人化して言えば、生きがいみたいなものになっていると考えられるのです。

そして、その芳香物質はやはり人間のような高度に発達した生物にとっても、単なる快感以上の作用をもっていてもおかしくありません。

つまり生物(特に動物)全般に活力をあたえ、賦活作用のある成分が含まれているはずです。それらの中にはいわゆる薬やドラッグにも負けない、あるいはそれ以上の身体的、精神的作用を持っていて、やる気を取り戻したり、抗うつ作用を持っていたり、動物にとって、いってみれば、生きることが楽しくなるような、どんどん活発に活動したくなるような成分や、時には精神を落ち着かせる鎮静作用も含めた有用な成分が含まれているといったことは考えられないでしょうか?

こうしてみると、植物もそこにただ生えているわけではなくて、芳香成分を介在として、ひろく世界と関わり、多くの動物を始めとする生物と触れ合おうとしているといえます。これらは蜂や鳥と花との間のギブアンドテイクという1対1の関係にとどまらず、もっと立体的に、森全体を活性化するような、大きな働きの一部として機能しているように思います。その重要な介在としての物質が芳香物質であって、人間もそのおこぼれにあずかっている、そういうことではないかと思うのです。