The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

2月11日午前1時0分

目がさめると、かつては何でもないことに、一人パニックになって泣いていた母が真剣な眼差しで父に向き合っています。

早く、〇〇に言うち、電話せな

自分には弟に頼んで、病院にきてもらうという意味だと聞こえてしまって、また怒ってしまいました。

この夜中になんでいまさら病院に電話せなならん。

母は引き返せない地点にいるのをまったくわかっていないのだと思っていましたが違いました。

早く、〇〇を呼んで一緒に看取らな。

そうと思うなら、自分で電話すればいいものを気が動転していて、携帯の操作もできないようでした。というか普段から助けてあげないと掛け直しさえできない母ではありました。

それでも、この後に及んで、自分はまだまだ、父の状態は数時間前と大きく状態は変わっていないと思っていました。

しかし、その数秒後、父の呼吸はみるみる弱ってゆき、リズミカルな呼吸は乱れて、時折、休符が入るようになってしまいました。

慌てて、弟に電話しましたが、今、店を出るところということでした。

母と一緒に懸命に声をかけ続けたものの、次第に呼吸は弱り止まってしまいました。

それでもしばらくはかなりはっきりとした脈拍を感じることができました。

そして、弟が家の勝手口のサッシに手をかけたとたん、

完全に脈は止まって、フラットになりました。

人間の脳は血流は止まっても数分間は機能し続けるといわれています。

最後に弟夫婦がかけた声もしっかり父に届いていたはずです。

あっと思ってから、数分程度のあっけない最期でした。

いつもはなんでも、うちにはわからんといって、逃げてしまう、母が自分より早く父の異変に気が付いたのは、やはり父が知らせてくれたとしかどうしても思えません。

たぶん、父は、母がはっきり意識していないとしても、〇〇子、56年間世話をかけたね、ありがとう、もういいよ、俺は逝くよ、というメッセージがわりに何かのサインを出して伝えたのではないかと思っています。