The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

父の夢の再現

弟夫婦と母親と合わせて4人で棺を覗き込んで父に最期のお別れをいうまで、気になっていたこと。とつぜんはっきりとしました。

ああ、そういうことだったんだ。

父の夢の中で出てきた、3人目の子供 女の子というのは、弟の嫁のこと。

そうと思えば、妹が帰れなかったこともある意味運命のうちだったような気もします。また妹のことに父が思ったより執着しなかったのもうなづけます。妹の嫁がいてくれたことで、父は新しい娘を得たような気持ちになっていたのでしょうし、妹はもう妹の旦那のものということを認めて、こだわる気持ちから離れることができていたんでしょう。

実際、父を慕うどころか、恨みに近い心情を大人になっても抱えていた自分でさえ、3日間にも及ぶ父の苦悶の時間は見るに絶えない瞬間が多々あり、とてもつらいものでしたから、幼い頃から父とべったりだった妹が耐えれたとはとても思えません。

そういう意味では帰れなくてよかったとも言えると思います。

よく親の死に目に会えなかったと悔やまれる方がいらっしゃいますが、苦しむ姿を子供にみせずに、静かに逝くのもある意味、親の愛ではないかと思います。まあ、そうでも思わないとやっていけないではありませんか。

そういうことを思いながら、あの父なら、今にも、ぱっと目を醒まして、棺桶をこじあけて出てくるんではないかという、怖れなり、期待なりの想像をたくましくしていたのですが、そんなことは起きるはずもなく、とうとう扉は閉められました。