日付が変わってしばらく経っても、父の呼吸は間欠的で、弟はもう長くないだろうといって、私と母に引き継いで、自宅に帰ってゆきました。
それでも、午前4時くらいになると、さらに呼吸は落ち着いてきて、しっかりとした腹式呼吸が現れるようになり、体に自然な温かみが戻ってきました。
しっかり集中して、念じると、いわゆる気とか光とか呼ばれるようななんともいえないエネルギーが父の全身に行き渡ってゆくのがわかります。
時折、無呼吸とも取れる時間が30秒程度空きますが、お父さん息をするのを忘れちょらんな?と声をかけると、再び呼吸が始まると言った状態でした。
呼吸していない時間の間、長い時間、寝ていない分の休息を取るために、脳の一部を休ませているようにも思えました。そして、ゆったりとした腹式呼吸で十分に酸素を行き渡らせるとしばらくして、呼吸は小さくなってとまったようになる、というのを繰り返していたのです。
喉に痰が詰まるのをふせぐために、急場で作った吸入器が役に立ったこともあり、激しい呼吸は止んで、それなりに穏やかな状態で2日目の朝を迎えることができました。
朝の8時には担当のSWがわざわざ様子を見にきてくださり、本当に峠を越したのかもしれませんね、といって帰られました。
この時点ではまだ病棟に帰るという選択肢もありえたと思います。