Coffee Beans Kurochamame

for Dripbags, Coffeemakers and hand-brewing

焙煎機の排気は何のため?

本当のことをいえば焙煎機に強制排気は不要、あるいは必要悪かもしれません。

適切に加熱された熱風をマメに直接吹き付けることさえできれば、フジロイヤルのように強引に排気つまり、ファンで引っ張るようにして強制排気する必要は必ずしもないかもしれません。

猛烈な熱風を吹き付けることができれば、豆の余計な水分と、豆の周りにまるでバンアレン帯のようにまとわれている水蒸気の壁を吹き飛ばして、短時間で理想的な条件で焙煎することが可能です。実際に多くの本格的な熱風式の焙煎機はそのようなアプローチをしているはずです。

それでは、フジのようなタイプの焙煎機の場合、何のために排気するのでしょうか?

一つ考えられるのはバーナーで燃焼した後の、酸素が抜けて、二酸化炭素や水蒸気にになった古い空気を、エンジンの排気ガスと同じく、単に排出すること。

さらに、もう一つは、豆から生じた水分をはじめとして、どちらかというと残って欲しくない雑味成分になる物質を残さず、スムーズに排出して捨てること。

その次に考えられることとしては、も焙煎中の複雑な化学反応に必要となる酸素を供給することです。空気の成分のうち、窒素やアルゴンは不活性で焙煎にはほとんど関与しないでしょう。NOXが生じるほどの高温高圧は内燃機関(エンジン)の場合の話です。焙煎中の温度であれば二酸化炭素も同様と考えていいでしょう。残るは酸素と一酸化炭素くらいです。

そして、何よりも、排気はバーナーで発生したカロリーを熱風としてドラム内に取り込むのに重要な働きをしているのは間違いはありません。ただ、このあたりは焙煎の前半と後半ではかなり様相が異なります。焙煎の前半では豆から発する冷気ないし、水蒸気が壁にならないようにある程度排気をしないと温度は上がっていかないかもしれません。

しかし、後半になると、(特に2ハゼ開始以降は)排気はそんなに開けなくても勝手に温度は上がっていきます。またドラムに高い蓄熱性を持たせていたり、焙煎機の内部が十分すぎるほどに温まっている時は伝熱の影響が大きく、積極的に熱風を引き入れずとも、そのままで加熱するかもしれません。

一方で、排気のデメリットというのも考えないわけにはいきません。

まず過度な排気はせっかくバーナーで発生したカロリーを無駄に排出することにつながります。循環式の熱風と大きく違う点です。

さらにせっかく生成した豆の中の好ましい揮発成分をどんどん排出して大気中に拡散させてしまう結果になる可能性もあります。

そしてさらに、排気をするということは特に梅雨の時期などはたくさんの湿気、水分を含んだ空気を焙煎機の内部に取り込むということでもあります。このとき、焙煎機の内部で起こっている、酸化還元反応は、ちょっと想像しづらいですが、少なくとも余計にカロリーを要求されることになります。これは見方によっては無駄、と言えなくもないでしょう。

そして、最後の最後に言えること、たぶん、ですが、乾留を中心とした独特の芳香など、深煎りの魅力を引き出すには、マイナスに働くであろうことはほぼ間違い無いでしょう。実際に、深煎りの銘店となれば、特別に排気機構を持たない手回し焙煎機やシンプルで弱めの排気システムしかもたない焙煎機を使用されているケースが多いことからも推測されます。