Coffee Beans Kurochamame

for Dripbags, Coffeemakers and hand-brewing

ドリップバッグの再評価 ③

ドリップバッグの評価をどのようなインターバルで行うのが効率的か、はっきりしたことはいまだに言えないのです。当面はとりあえず5日、15日、25(30)日、45(60)日、90日、180日、365日といった刻みで試していこうと思っていまして、一部は車に積みっぱなしにして店頭での環境を模して、特に夏場にどれくらい影響するか調べようと思っていますが、実際の保管条件は様々。

というのは、ドリップバッグが完成するまで、そして抽出するまでにどういう扱いを受けたか、その前提条件が与える変動の幅は大きく、数日とか数時間でなく、数ヶ月から、おそらく数年単位で影響する可能性すらあるからです。コーヒーは適切に管理できれば焙煎後でも3年くらいは十分に飲用できる条件で保管は可能です。必ずしも冷凍したり、特殊な処理は必要ありません。抽出時に工夫すれば劣化を目立たなくすることはできますし、そもそもコーヒーで食中毒を起こす心配はほとんど不要だからです。

しかし、おいしくのめるかというと、焙煎直後からちょっとという場合もしばしばあります。そして、焙煎直後に癖を感じるものと、焙煎後時間がたった時に劣化のサインと多くの人が感じる特徴は似通っていたり、ほとんど区別がつかないことさえあります。ある程度、焙煎がうまくいっていて、保管がひどくなければ、焙煎後三ヶ月以上経っていても、やっぱり焙煎したてなんですか、香りがいいですね、といってくださったりすることも結構あります。スーパーで購入するものと比較されている場合特に、ですけれど、銀座の高級店から取り寄せている方からもいわれたりしますから、お世辞も含んで入るとは思いますが、コーヒーの香味というのはそこそこ持続性のあるものだと感じます。もっとも、この辺り、本当にいつ焙煎したかなんて、自分自身で焙煎したり、管理しない限り、正確に判断するのは簡単ではありません。

こういうことがわかってくると、安易に他人のコーヒーを批判したり、評価したりできにくくなってくるのです。その点、大手の工場で作ったものは品質の安定感だけいったら、最高クラスですし、日本人の几帳面さが生きていますね。今の時代、わざわざ自家焙煎店でコーヒーを購入するメリットを感じておられる方の割合はどんどん減少する一方でしょう。それもわざわざ、他の抽出方法より不利な要素の多いドリップバッグで評価するとなると。

しかし、ここまで来たら、普通の喫茶店(あるいはカフェ)で飲むのと変わらないレベルを目指してみようと思います。むしろ、スペシャルティ専門店でワンコインで収まらないどこかのCOEクラスを飲むのと変わらないレベルを安定して楽しめるところを目標にしたいのです。

今回は引き続き5月に入って焙煎した中でドリップバッグにもっとも適した焙煎ができたと思われる5月5日の第13バッチ目を継続してテストしていきます。

ドリップバッグの作成は5月31日。これまでの中でもっとも粉砕後に酸素に触れる機会が少なくできた工程で作成したものを評価しました。

1)脱酸素剤あり A社 最小モデル 一個 ○

そこそこスペシャルティ感はある。テイストは少し余韻に癖を感じる。ある種の劣化感は感じるが、粉砕後5日たったとは思えない。

2)脱酸素剤あり A社 最小モデル 2個 ○

同じ脱酸素剤を2つ使用。テイストに少し丸みが出ている。ただし、香りはさらに控えめになっている。劣化した感じは1より抑えられていると感じるが、それとは別に少し脱酸素剤由来ではないかと疑う別の癖を感じる。

3)脱酸素剤あり A社 酸素吸収量2倍モデル 1個 ○

酸素吸収量が2倍で香りを大切にするものに適しているとされるもの。2より落ち着いた印象はあるが、淹れ方で逆転するレベル。ブラインドで判別は難しいと思われる。

あえて言えば2の方がフレッシュ感はあり、3の方が飲みやすいかもしれない。

4)脱酸素剤あり A社 酸素吸収量1.2倍モデル 1個 ○ (少々入手困難)

酸素吸収量が少し多めのもの。2、3との差は僅かで淹れ方で逆転するレベル。こちらもブラインドで判別は難しいと思われる。

全体的な印象として1より劣っている。また2、3にもわずかに及ばない。脱酸素剤の入荷が古く影響した可能性はあるが、わざわざこちらを選ぶ意味は感じられない。

5)脱酸素剤なし 対照群 ○〜◎

5日経っても香りはもっとも高く、若干の劣化感を打ち消している。それほど癖や嫌な印象なく、最後まで飲める。 甘みを感じやすく、濃く感じ。もっとも自然である。多少、酸化を感じさせるような風味はあっても劣化を連想するほどの強さはない。ここまででもっとも印象は良い。

6)番外)脱酸素剤なし 不織布のバッグに3gほど入れたもので4分ほど100ccのお湯に浸けたもの。 ◎! たまたま余った豆を外装に入れて保管していたもの。湯温が下がって影響した可能性はある。フィルタの特性も大きく異なる。

最も飲みやすい。はっきりスペシャルティ感が出ている。雑味はほとんど感じず、また色は薄いが物足りない感じはほとんどない。素材の良さが最も引き立っている。

7)番外) 脱酸素剤あり A社 最小モデル 一個 1と全く同じ条件で作成したものの、開封時に間違ってお尻の側を開いてしまって入れられなくなったものを不織布のバックにいれて4分かけて抽出したもの。△→○

1、2、3の印象から香りをさらに引き算した感じ。薄く入ることもあって、第一印象はシンプルで圧倒的なカラメル感。他にスペシャルティを連想させるような特徴はない。少し冷めて、香りが後退するとカラメルだけを原料にして作られたと思われる百均コーヒーを連想させるほど単調だが、少しの酸味がそうでないことを伝えてくれる。雑味があったとしても目立たない淹れ方になっているかもしれない。冷め切るとなぜか5に近いかもしれない。

完全に冷め切った後、ドリップバッグでいれたバッチはおしなべて甘みもありフルーツ感もあるが、少しくどく、カップによりわずかに雑味感がある。本来のこの豆の個性に対して深すぎる焙煎になっているだけでなく、単純に少し濃度が高すぎたかもしれない。この点、不織布のフィルタで淹れたものではほとんど気にならない。作成直後よりかなり濃いめに入る印象はあるが、抽出時の湯量をふせばマグカップで楽しめる方には良いかもしれないができればこの雑味は感じさせたくない。

本日の総括 粉砕後に酸素に触れさせないことがおそらく最重要。脱酸素剤の吸収スピードでは間に合っていない可能性が高い。ドリップバッグにこだわる場合、粉の量や粉砕方法も含めて見直す。あるいは、原料によってはいわゆるコーヒーバッグ(不織布)での配布に切り替える必要があるかもしれない。

さらに脱酸素剤の影響が大きいため、1週間以内程度の利用なら使わないで済んだ方がうまくいく可能性がある。ただし、長期保存については別。

先回、先回の評価の結果とも合わて、雑感

二酸化炭素の存在が思ったより以下の2つの点で影響している可能性がある。

1 二酸化炭素による酸素吸収効果の阻害

2  二酸化炭素によるコーヒーの劣化の促進。

いずれも結構な問題です。今回は比較的浅めの煎りですが、特に深煎りの場合もっと大きく影響する可能性があります。二酸化炭素はコーヒー保存性を高める味方だと思っていたのですが、一般の食品で起こりやすいカビなどの発生は抑えるものの、もともと乾燥しているコーヒーの場合はメリットよりもデメリットの方が大きくなるのかもしれません。酸素ほどではなくても活性のある二酸化炭素がせっかくのコーヒーの成分をじわじわ破壊していっているかもしれないのです。ただし、これはいい意味でのエージングと隣り合わせですので、おそらく評価は簡単ではありません。今更ながら今後精査する必要を感じます。