The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

長期保管テスト 雑感

ドリップバッグの作成を本格的に始めたのは2019年からなのですけれど、コロナの騒ぎもあって、行き場所のないまま保管していたドリップバッグや試しに他店で購入して試した豆のあまりを捨てるわけにもいかずドリップバッグにして保管していた分が、なんだかんだで1500か、2000個近くはありまして、いずれも作ってから、2年以上経ってしまっているので、テストし切れない分を、良い加減、破棄しようかと思ったのですけれど、たまたま思いついて、試してみました。

何種類もあるなかから、一つを選んで開封して、一晩たってから淹れてみました。なんとドリップバッグの取っ手の部分が変色している以外はそれほど劣化の兆候は感じません。

最近では製造工程をしっかり印字してトレースできる仕組みをやっと導入したのですが、当時はそんなことは考えていなかったので、おおよその作成時期以外はわかりませんが、作ってから2年半近く経っても、しっかりとしたアルミ外装に個包装して、脱酸素剤を入れたものは開いた時に酸化を連想させる香りは発生せず、微かに、挽きたてでないかと錯覚させられる匂いさえします。これくらい期間が経っていると、図書館の閲覧室の裏の保管庫から出してきてもらった本か、古本屋の戸棚から出してきた本みたいな香りがすることがありますが、それすら皆無。

焙煎度がシティいくかいかないくらいというのも影響しているとは思いますが、飲んでみると、あらら、作成当初より落ち着いて飲めるかも。しっかりとしたパッケージングをして、ブランディングをして売れば、十分に通用するクォリティでした。

別に比較するつもりはなかったのですけれど、対象的に昨日、ある超有名店のスーパー向けドリップバッグを購入して半年くらいしたものを試したのを思い出したのですが、こちらは購入当初からはかなり変化していました。焙煎度はこちらはさらに深いのに、ドリップバッグの取手が全く変色していないので、さすが大手の技術は違うなあと感心したのですが、飲んでみると。これは、あまり言いたく無いのですけれど、某シアトル系ブランドのスーパー向け商品と比較しても大差ないというか、むしろちょっと辛いかなといった印象でした。

しっかり比較してみないとはっきりとしたことは言えないのですけれど、おそらく外装に使われるフィルムの品質の影響が大きいというのと、いわゆる窒素充填は作って時間が立つほど、脱酸素剤に対して不利では無いかということです。最初の1、2ヶ月ぐらいだと良いのですけれど、

その点、コンビニで売られているドリップバッグは、十個パックとかの外装はそれなりの厚みがあり、未開封でそのまま置いておけば意外にクォリティを保てます。ただし、最初の数週間、数ヶ月は割と挽きたて感(あるいは作りたて感、おニュー感)が残っていても、半年経つと流石にすこしくたびれてきて、一年経ち、賞味期限過ぎる頃には例外なく、もう、インスタントコーヒーと比較しても厳しいかもしれないと感じるところまでガッカリ感が出てきやすい。自分の場合、賞味期限すぎても半年くらいまでなら、一応試してみますが、ここまでいくと、気のせいかパッケージの外装全体が少し湿気の影響を受けた感じがしてきます。保管条件にもよりますが、どうしても湿気や酸素をある程度通してしまう以上は窒素充填だけでは足りないように思います。

脱酸素剤には副作用もありますが、三ヶ月、半年以上の長期保存に関しては有利です。

ただ今回良い結果をもたらした外装はフィルムの厚みは2倍位あって、しっかりしているもののデザイン的にはまったくXでして、見向きもされないと思います。

使用した脱酸素剤も通常ですと200g弱程度までの豆の保管に推奨されるサイズで二酸化炭素を吸収しすぎるのか作製直後はデメリットが大きいのではないかと判断していたものでした。でも、これだと、作製後二ヶ月目くらいからほとんど時が止まった感じにはなります。

しかし、それでもやはり店頭に並べてもらうなら、何よりも何ヶ月もする前に売り切ってもらえるものを置くのが優先で、数週間どころか数日で売り切れて、それもすぐに使い切ってもらえるのが理想です。半年もした後のクォリティなど問題にする必要がないと思えば、納品後最初の1、2週間の品質を問題にすべきでそこにピークを持って来れなければ少なくとも商品としての価値はみとめてもらえないということでしょう。