The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

ガウスの世界への扉 焙煎時間と水分量とスペシャルティの関係 ④

最新のコーヒーアナライザは、ちゃんと粒度の分布と同時に焙煎度のばらつきの分布が表示されるらしいので、必ずしも、ミクロイドの助けを借りなくても、水平方向x垂直方向合わせたばらつきの分布のおおよその傾向は把握できるようになってきているということになります。テクノロジーの進化はとどまることを知りませんね。しかし、そのようなデータが得られれば得られるほど、それをどう解釈して利用してゆくか、利用する側のコンセプトも問われることになります。

そして、焙煎のカラクリを考えるときは、やはり細胞一つ一つのレベルにまで遡って考えてみることが大切だと思います。なんとなれば、その粒のひとつひとつの中にも微細なムラが生じており、豆の中の硬い部分は大きめに挽けたり、柔らかい部分はより細かくなりと言った具合にミルの種類によっても粉砕具合は異なり、わずかながら、実際の豆の内部の様子とブレた結果を導き出す可能性がありますし、豆の内部の複雑な構造に起因する、部位ごとのばらつきは全体を粉にすると見えにくくなってしまうことや、隣り合う細胞同士で起こっている未知の反応についてはまったく手がかりが得られないからです。

ちなみに1つの細胞もっとミクロな分子レベルの世界について、つまり細かい化学物質の反応については泥沼で、2022年の時点でそこまで踏み込むのはたぶん、あまり価値がないという気がしますので、今回は先送りにして、再び、ミクロイドSの力を借りて、今回はコーヒーにとってのハゼの意味について少し考えてみます。

一ハゼの前のいわゆるライトローストと呼ばれる段階の豆の内部を探索したとします。(一はぜ開始直後をライトローストと定義される方もいらっしゃるようです)

その段階でも既にメイラード反応もカラメル化もそれなりに進行しているので、コーヒーらしいテイストがしてもおかしくないのですが、この段階をコーヒーとして出しているところは滅多になく、一般には生くさいものだとも言われています。しかしもし、内部まで完全に火を通すことができる焙煎機で一ハゼの前で止めたとしたらどうでしょう。その場合は、生くささは感じず、しっかりコーヒーのエキスが損なわれず楽しめるでしょうか。もし、時間が足りなければ一ハゼを起こさないようにコントロールして少し長めに焙煎してみたらどうか。

もう一方で、一ハゼをたとえば全体の40%程度の豆が迎えたと思われるとか、ピークの少し前の段階の、いわゆるシナモンローストという段階で止めたとします。

先ほどのライトローストとの差が小さくなるように努めてなるべく見た目の焙煎度も揃えて、なおかつしっかり爆ぜさせてみるのです。

比較すると、どうなるでしょう。結果は、焙煎をされておられる方なら、ほぼ即答されるかと思いますが、後者の方が圧倒的にコーヒーらしく、素材の良さが感じられるものになるでしょう。その理由は、ハゼによって十分に水分が抜けるからと説明されることが多いですが、自分はそうとは思っていません。なぜかというと、時間をかけて、

水分をとばしたところで、1ハゼといえる段階を飛ばしてしまうと、なんとも言えない不完全感が残るケースがほとんどだからです。(本当の深煎りをする場合はまた別です。)

ここから先は、やはりミクロイドSの力を借りるしかないと思います。

ーつづく