The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

ディスカバリーや煎っ太郎がなくとも、煎ってみよう part IIの②

200gでのグラフ 投入温度は180度台。DRYENDは170度台。DROPは11分過ぎ

初めてこのサンプルロースターで250gまでの焙煎に挑戦してみました。50gステップで上げていって、250gでやっと豆に温度プローブが埋まりかかるようになりまして、本格的な焙煎機っぽいグラフが書けるのですけれど、途中からポロポロ豆が溢れて出てきます。

改造しないと220gくらいまでならなんとかという感じでしょうか。しかしグラフはともかく、実際の結果でいえば、もっと少なめの方が平均点は高くなるかも。

もう少し思い切って火力をかけたかったのですが、0.7kpa以上は遠慮してしまいまして、焙煎時間は長めになってしまいましたので、単調な仕上がりになってしまいましたが、ハゼが穏やかな分、豆の飛び出しが抑えられた感じになりました。飛び出しを気にしなければ1.0kpa近くかけてもいいかもしれません。RORは50近くになってもこの焙煎機の場合はそこまでのストレスにはならない可能性があります。

焙煎そのものは難しくなるかもしれないのですが、やはり結果にこだわると焙煎量は欲張らない方が良いかも。ただ、みためは250g入れた方が明らかにムラが少ない。

積極的に改造して300g位までいれれば、もっと本格的な焙煎機っぽいグラフがかけるはずですけど、そこまですると、なんらかの風量を確保するファンないし、排気調整機能が必須になってくるかもしれません。

 

ディスカバリーや煎っ太郎がなくとも、煎ってみよう part II

ある程度、再現性があれば1バッチはそんなにたくさんでない方がいろいろ都合がいいのは確かですが、60gというのはさすがにきつい。カンにまかせてガンガン煎ってしまって、それぞれのバッチをうまくブレンドしたりすれば、それなりに量を確保することもできます。しかし、ある程度、実用的な焙煎機で再現する目的で、今後に活かせるデータを取ろうとしたならば、どうしても記録に必要な手が足りなくなる。

ということで、手が空きやすいドラム式の登場です。

今回、熱に弱い部分の電子部品やスィッチを外に出して仮にビニールテープで絶縁して試運転してみました。熱源はこの前から復活させている業務用のコンロです。

オリジナルもノズルを交換して調整し、カバーをつければ火力の絶対値は問題なくなるのですが、なによりこちらを使うと遠火の強火が実現できます。ひとことでいえば熱風式に近くなるのです。ただし、元々の火力が過剰気味なので簡単なフードをつけた状態ですと、100gの豆に対して必要な火力はほとんど0.3kpa以下の領域でして、調節はしにくい。

最近、冬の雨が続き、室内の湿気がひどく、しばらく除湿機を使っていまして、その状態ですと、なぜかこれまで比較的いい条件で煎れていたと思っていた、温度と湿度のレンジに合っているように見えても、なんだか焙煎しにくく、結果も思わしくありません。

そこで今回は、とりあえず、部屋にある加湿器を総動員してそれなりに湿度の高い条件を作ってやります。基本的に火力が余っている条件であれば湿度は低いよりはあるところまで高めの方が好ましい。

特にウォッシュトのいい豆であればあるほど、その傾向があるように思えることさえあるので、今回はほどほどのところまで湿度を上げて焙煎してみます。

この焙煎機で工業用の温度プローブを繋げるのは今回が初めてでいろいろ戸惑っているうちにファースト焙煎は進んだむのですが、なんと1ハゼスタートの温度は220度台の後半になってしまいました。

ということは、これ、ひょっとしたら、焙煎量は倍かそれ以上に上げた方がうまくスペシャルティの焙煎にマッチするデータが得られる可能性が高い。

大体このドラムの内容積はおそらくディスカバリーと大差ないのですけれど、どうしても構造上、豆が飛び出しやすいので、そうならないように工夫が必要です。

あとは、どうしても豆の投入に時間がかかってしまいやすい。100gに対して最短12秒、標準20秒弱はちょっとかかりすぎでムラの遠因になっています。

こういった点をクリアできれば、ディスカバリーと同じくらいの焙煎量を確保できるかもしれません。

たぶん、300gは無理としても、ぎりぎり250g位でしたら、なんとかなりそうな気がします。結構、豆の飛び出しを防ぐのは、このシンプルな構成の焙煎機に対しては大掛かりな改修になるのが欠点といえば欠点ですが、実用性が大きく向上するのは間違いなし、なんとか挑戦してみたいところです。

次回以降のテーマですね。うまくいけば、生産性も上がって、単なるサンプルロースター以上の働きもできるかもしれません。

はてさて結果はいかに。

 

 

Artisan手網の限界!?

一応、今回用意した手網の標準焙煎量は80gという説もあったので、試してみると、本当に最新の焙煎機の豆温度計の表示とあまり変わらない測定値がバッチリ出ています。

もちろんというか細かくいうと、RORはかなり暴れますがサンプリングレートを長めに取ればそれもかなり落ち着いてきます。ある程度脳内補正できるようになっているので、そもそも設定の変更などしなくても、どうにでもなります。

しかし、肝心の結果は。もうそんなに回数試すまでもなく、却下。

豆の膨張もある程度考慮しつつ、しっかりそれぞれの豆にバーナーの燃焼熱が当たる条件とすると、やはり55〜60gあたりを最大焙煎量とすべきという結論に。

それとやはりというかartisanの記録に片手が頻繁に取られる状態だとかなりいろいろな工夫をしてやらないと手網ではできません。豆を揺する手、記録する手、火力を調整する手、排気を調整する手の4つが必要になります。同時に操作しなければ兼用できるとはいえ、同時に近く、記録と調整はしたいので、なかなか大変。今回用意した環境だと熱風を閉じ込める円筒やガラス蓋がどんどんズレて落ちてしまうので、上の蓋など全体を支える手も必要ですから、結構頻繁に揺する手を止めたりしなくてはならない状態で、おちついて焙煎するどころでありません。もちろん、細かく工夫すればもっとやりやすくはできるのですけど、この構成だとシンプルに温度表示器だけをみながらの方が相応しいように思います。

とりあえず、湿度の焙煎に与える影響について。今回用意した手網の環境に限るかもしれませんが、水分量の多い、ウォッシュトでは湿度は低め、ナチュラルでは高めの湿度が好ましいという結果になると当初は予想していましたが、全然違いました。

却って、水分量が多めであっても、特に柔らかい豆の場合は、湿度がギリギリまで高いくらいの方がどちらかというと煎りやすいという結果に。

今回、火力の調整がシビアなので、その影響も無視できないのですが、ナチュラルの場合もあまり乾燥しない方がいいということだけは確かなようで。少なくともウォッシュトよりも高い湿度が要求されるということはなく、むしろ、水分量が低い分、低めの湿度でもなんとかいけるという感じです。特に密度が高い豆で乾燥している場合、空気は乾燥していてもそこそこなんとかなり、湿度が上がってしまうと却ってコントロールしにくくなる感覚さえありました。たぶん、密度が高い豆はもともと間口が広いというのもあるのでしょう。これはもう少し回数多くやってみないとはっきりとしたことは言えない段階ですが意外な結果でした。

artisanでの記録前提だとやはり手網は厳しいということで、次回以降は小さなドラム式に戻ることにしました。

煎っ太郎でなくても、ちょっと煎ってみた!

全部で10バッチほど、豆を変え条件を変え、炒ってみた結果。

遠赤外線効果が売りの網を通した焙煎は浅めの煎りに関しては全滅。表面は黒く見えても中はそうでもない感じです。

これは予想されたことですが、やはりセラミックの網が少し赤熱するくらいの条件では仮に効果はあったとしても限定的。少し深煎りの名店のテイストに通じるような気がするバッチもあるものの、少なくとも網で改善した結果とは言いにくい。

赤外線の効果を検証するには専用のバーナーを使用した方がまだマシではないかという結果に。特に炭火焙煎などをシミュレーションしたい場合は白熱するくらいまでにならないと意味がない。

途中から、工業用の温度表示器を取り付けるとやっぱりレスポンスはよく、250度以上まで表示できるし、表示も消えずわかりやすい。ただこうなるとグラフを描かせたくなってしまいます。

最後の方でArtisanに繋いだ温度プローブを使って、ごく普通に焙煎したバッチは流石に安定していました、ほとんど久しぶりに焼いたメキシコ産がかなりいい具合のシナモンロースト風に。手挽きで挽くとガリガリと大きく音を立てるのですが、乾いた感じのドライのフレグランスでごくわずかアンダーディベロップ感というか、もう少し降ろす時間を遅くするか、火力を強めてもよかったかもと思わせるものの、熱風式の焙煎機で焙煎したといってまず疑われないレベルに。現時点(この構成3バッチ目)で、ikawaを越えたとまでは言わずとも、少なくとも肉薄できそうな雰囲気はあります。何せ、デカフェですからね。ここまで焼ければ十分。

artisanに書かせたカーブは手網を揺するタイミングでどうしてもセンサどころか全体がぶれてしまうし、豆に触れる面積がランダムに変化してしまうために、そうとう暴れますけれど、実はかなり業務用の焙煎機で普通に焙煎した時の豆温度とかなり近い条件で測定できていることがわかりました。(キッチン温度計での脳内変換を通して自分が慣れているから脳内補正できているのも大きいと思います)。焙煎時間も1キロ以上の小中型の焙煎機と変わらず、ハゼのタイミングでの豆温度の表示もだいたい似たような数字で焙煎の組み立てはある程度まで可能です。

つなげる手持ちのパソコンさえあればartisan周りの費用まで含めても数万円レベルで構築できます(コンロ別)。データロガーなしなら、数千円から1万円ちょっと。にしてはあり得ないパフォーマンス!

センサーの取り付け方を工夫したり、網の高さを固定してしっかりゆすれる工夫をしたり、上蓋をきちんと固定する仕組みをつければ再現性も業務用焙煎機並みにできる余地があります。しかも圧倒的な火力。わずか60gに対して最大3500kcal/hは足りないということはぜったいあり得ない。 0.5kpaでもオーバー気味なので最大1500-1800kca/hで十分有り余る火力。

焙煎量はあまり欲張らない方が無難です。このコンロと網の組み合わせの場合80gでも煎れなくはないけど、もう全く別の焙煎になってしまう可能性あり。

蓋を開ければ一瞬にして十分過ぎるほどの排気、なんのタイムラグもありませんし、いずれも可変範囲はどんな焙煎機も上回っているかもしれません。

ただこのままではどう頑張っても、自動で同じ焙煎を繰り返すようなことはできない、です。ここだけはikawaに勝てない。

いつかはAI搭載の家庭用ロボットが勝手に手網で焙煎してくれるような時代が来るかもしれません。

それまではお預けですね。

煎っ太郎でなくても、ちょっと煎ってみよう!

現在、湿度が焙煎に与える影響を調べておりまして、ある程度小さな閉じた環境がふさわしいこともあって、自宅でいろいろ試しています。今回、熱源は単なるコンロ。

ちょっとしたことで滅多に手探りではできないレベルでシナモンに近い浅めの焙煎がそこそこ決まってしまう。ただ、火力の調整についてはいろいろ大変なので、今になって、今更ながら微圧計をつけることにしました。

火力のベースは家庭用コンロに近い外観の古い設計の業務用コンロなのですけれど、これがとても具合がいい。なんと圧力計の表示が0.15kpa切るか切らないかレベルで立ち消えしません。圧力計の表示はそれなりの誤差を覚悟しなくてはならないのですけれど、絶対値はともかく相対誤差は操作方向を合わせればかなり正確に決まりそうなのです。ということはほぼ0.2kpa切るところからフルスケール2.3kpaまで0.1kpa単位で調節できる。つまり実際の火力で30%近くまでかなり正確に数値を見ながら絞れるわけです。それ以下も目盛を正確に読むのは大変というかほぼ無理ですし、どうしてもコンロ付属のつまみで調整しないとあんていしないのですが、ここまで絞るとかえって炎の状態の変化は目視でも分かりやすい上に結構安定していますから、手探りとはいえ調整は楽(本体のつまみを操作すると微圧計はいみなくなるのが問題と言えば問題ですけどね)。

これ、コンロのカタログの仕様上は最小火力は8%。実際の焙煎では0.15kpa以下は予熱で様子みるのには使うとしても、焙煎中はあまり必要としないかもしれないところです。 0.2kpaで大体全開の30%くらい。カロリーにして1000kcal/h超えるか超えないか位。

ちなみに自分の年式のフジ3キロの場合、安定して絞れるのは44パーセント位までですから、もう、そうとう勝手が違いますよ。その分細やかな火力のコントロールができる。地味にすごい。

しかもです。微圧計手前に設けたバルブですが、なんとフジの3キロなどに使われているタイプのバルブもあるのですが、結局、ごく普通の昔の小型のコンロに使われていたバルブで十分というか、こちらの方が下手をすると調節しやすい。両方併用すると尚良い。

これ、料理の時にも役に立ちそうなので早速応用する方向でいくことに。

やってみると、結構、とろ火に近いところに持っていくと、微圧計の針はほとんど0に近いところを示します。ありゃ、もうここまでいくと、炎の様子で推測するしかありません。意外と言えば意外なのですけれど、よく考えてみたら当たり前。

しかし、調べてみないとわからないもんですねえ。ちなみにいつもの弱火と中火の中間くらいのところですでに0.2kpa切っています…、

料理でよく使うレンジは意外に火力30%以下の範囲なんですよね。
このコンロの場合、強火と思って全開にするとあまりに火力が強すぎてむだがおおく、鍋の周りが焦げたり、取っ手を焼いたりするだけで大きなフライパンでさえ、あまり意味がないのですが、実用レベルにちょっと絞ると、一気に0.5kpaあたりです。そこから弱火にすると、微圧計があまりあてにならない0.15kpa以下の世界に、とろ火だとほぼゼロにしか見えません。

ちなみにたとえばお好み焼きに最適な火力は0.5kpa位。小さなサイズをゆっくり焼くときで0.4kpaから始めて仕上げにちょこっと0.6kpaまで上げれば十分。それ以上はすぐに焦げてしまいます。他の料理もこれくらいをほぼ標準にしないとあっという間に焦げ焦げです。

なんでもはっきりとした数値で管理できるのはやはり便利。

次のテーマはやはりというか。今更ながらのしっかりとした温度プローブの設置とデータロガーの活用です。

 

ちょっと煎っ太郎 R-005②

せっかく専用の台を用意してまで試運転したので、ついでにプロパンも用意して1バッチだけ焙煎してみることにしました。使用する豆は今度はカカオでなくて、アラビカ種のデカフェです。

最初は都市ガスで前半部分全開で様子を見てみます。

標準焙煎量の半分程度でも13Aだとはぜるところまでどうしても持って行けず、仕方なく、途中でプロパンにバトンタッチ。焙煎時間は12分台で焙煎度としては一部が浅めのミディアムから一部ハイに相当するレンジにまたがっている状態です。

ぎりぎり古典的な焙煎のスタイルに近いところで、たまたま投入口からキッチンスケールを突っ込んで測った温度の推移もほとんど3キロの温度計の表示とほぼ同じ感覚でした。結構煎りやすいですね。

結果は、都市ガス→プロパンという変則的な焙煎でしかも初めてのバッチなのにも関わらず、そこそこ珈琲らしくなっています。(デカフェですけど)

さすがに原料の良さが引き立つ焙煎にはなっていません。そういう結果をえるには焙煎時間自体が長すぎました。焙煎時間の割にムラは大きめではありますが、飲用に適さないレベルではありません。少し条件を整えれば見かけも含めて、市販の豆に遜色のない仕上がりにできるでしょう。大して試行錯誤する必要もなさそう。意外に楽です。

この条件では排気がどうとか問題にする必要はほとんど感じられませんし、特に癖がつくと言った感じはしません。

少なくともスタンダードな焙煎で不自由することはなさそう。

これだけ焙煎量があれば立派な商売の道具にもなり得るでしょう。

でも、使っていると、いろいろ欲も出てくるんですよね。結局。

それでも、最初に使いこなす道具としてみて、実に面白いと思います。

自分もここから始めてみて良かったかな、と思うくらいです。

ちょっと煎っ太郎 R-005①

たまたまフジロイヤルの煎っ太郎をお借りすることができたので、コーヒーでもいったろうかと思ったのですが、都市ガスだとコーヒーの焙煎に必要なカロリーが発生していなーいプロパン仕様なので、コーヒー豆はやめて、とりあえずカカオを焙煎してみました。

なるほど、ドラムのサイズからしても、これうまくすればR101よりも焙煎量稼げそうです。ドラム周りの熱容量がこれくらいの方がいろいろ都合良いかもしれません。

あまり排気とかチャフの煙で豆が燻されるのを防ごうとかそういうことは考えられていません。だいたいチャフを受ける皿なんかもない。これはどちらかというと大坊モデルとかの手廻しの延長で焙煎するイメージなのでしょうか。実際にドラムも傾いて回っていますしねえ。ドラムの容量がある分、むしろそういうのは不要という考え方かも。

商業用の焙煎機としては、未完成、というか。もともとサンプルロースターとか教育用という位置付けなんでしょう。

バーナーの火力も熱効率を重視しない作りなので、100gとかでの焙煎でも思ったように仕上げるのは意外に難しいかもしれません。オリジナルのままだと浅煎りのスペシャルティとかだと少々厳しいかも。使えば使うほどガス代に音を上げて買い替えてもらえればということ??

逆にこれは、メーカーの想定した使い方を離れて、豆がこぼれ落ちないように工夫したりして、うまくすれば、熱効率も上がって、ディスカバリーに十分匹敵する焙煎もありえない話ではなさそう。

排気の問題への対策は、簡単な仕組みで実現は厳しい。

旧フレーバーコーヒーの中川さん並みかそれ以上の工作スキルが必要か。

しかし、ある意味、ディスカバリーよりもどっしりとしっかりとした作りなので、いろいろな可能性を感じます。器としては業務用の1キロに限りなく近いかあっけらかんとして開放的な作りが吉と出ればある意味、それ以上かも。

これ、このままだと個人的にはコーヒーの焙煎しようという気にはなかなかなれませんけれど。

下手すると簡単にディスカバリーやR103あたりに負けない焙煎ができてしまうポテンシャルがばれてしまいそうだから、あえての仕様ではないかと疑ってしまいます。
構造的にいい位置に豆温度計つけるのが簡単でなさそうだったり、使い勝手を向上させようとすると障害になりかねない点もいろいろありはしますけれど。それだけではありません。改めて見れば見るほど、えーとかヘーっと思うところもありまして面白い。

うむぬぬ。あなどれないかも。

お茶どうぞから、コーヒーどうぞの世代へ!?

せっかく淹れていただいた好意をそうそう無駄にするわけにもいかず、昔なら普通にお茶が出てくるタイミングでコーヒーを出されても大抵の場合、これは少し色がついたお湯、つまり水分補給の手段だと割り切って飲んでしまいます。

ただ、やはりあまり頻繁だと辛い。それも1日に何回もつがれるとさすがに参ってしまいます。

どんなに暗示をかけてもほとんど拷問に近い。

で、ときおり自分の豆を持って行って淹れさせていただいたりもするのですが。

最近は自分の感覚があてにできず、控えていたこともあり、かわりになんとか、中身の見えない真空断熱カップに水やお湯を充して、まだいっぱいありますとか適当に返事をして、済ましていたのですが、もうこう、さすがにどうにもならず、久しぶりに持ち込んだ焙煎豆を淹れてみたりしています。

ミルもないので、そこいらにあるミキサーに豆を突っ込んでちょっと粗挽きですけど、ギリギリコーヒーが淹れられる程度にまで粉砕した後、13gとか20gとかそんな豆の量に対して下手すると400-500cc落とすような抽出。それも温度調整機能なしの普通のティファールしかない環境でお出ししたりするのですけど。

まるで、お店みたーい、と皆さんおっしゃいます。

いやねー、まあ、そうでしょう、というか、ほんとはそれ以上でないと困るというか。

この年代の方でも、大手ブランド同士の違いがわかるのもたぶん、素人とは言え、結構、豆の品質や焙煎度には意外と敏感なんだと思います。今回、一応、スペシャルティを名乗れるレベルの豆でしかも煎りたての香り付きなので当然と言えば当然なんですけど。

でも、これデカフェ、なんですが。

全然コーヒーらしくないでしょ、といっても、本格的に感じるんだそうです。

お世辞がかなりの割合が入っているのは確かですけど、北九州の水は結構鏡みたいにしっかり豆の性質を伝えるところがあるので、やはりベースとなる豆の素性にそれなりに反応している感じはあります。G2クラスなんですけど、当然のように高地産の硬くてしっかりした豆なのです。産地全体が高地にあって全体的にほぼスペシャリティに値する地域だったりするので当たり前と言えば当たり前。

しかし、なぜかデカフェの方が評判が良かったりして。

翌日、少し深煎り目に挑戦して外したなーと思ったものを少し試してみていただきましたけど、さすがにがっかり感のある反応でした。この辺りの焙煎度の差はさすがに誤魔化せないですねえ。

コーヒー論争 その後

コーヒー好きといっても、わざわざ普段飲むのに自家焙煎店の豆を購入するまでもないなーという方たちが中心に集まっているとある場で出されているコーヒーについて。

とりあえずはこれでなんとか(我慢出るかも?)、という線でおすすめしてしまったブランドがあり、そのお徳用のパックを購入してこられたのですが。これが大誤算。

全く同じメーカーの全く同じブランド、パッケージのデザインも全く同じで大容量なだけなのですが、開封してみると、なんとまるでキメラのような焙煎のムラがちらほら。肉眼ではっきりわかるくらい。異なるバッチ、それも原料の品質にも差がある可能性のあるものがブレンドされているのがみえみえです。小さなオレンジ色の粒もチラホラ。最初に開封した分がたまたまかと思ったら、2つめもほぼ同様。これだと以前不評だったメーカーの方が焙煎の技術単体で見ればむしろ上回っているかも。

これ同じブランドのドリップバッグのシリーズと比べたら、とてもでないけど無視できない差です。
ちなみに大容量でない普通のやつは、開封直後にドリップバッグにしてあげれば、メーカーでドリップバッグにして出しているものとほぼ同等に作れますし、普通に淹れてもそこまでの違和感は感じません。そこから賞味期限が近づくと使われている包装の限界もあって、どんどん落ちてゆく。これはどうやっても仕方がない。

それにしても、この大容量は、一応、有名ブランドなのにこういうことするのかと。

コストコの巨大ボトルほどでなくても、洗剤とかシャンプーとか、大容量のリフィルがスーパーでも当たり前に買えるようになってきてお徳用の大型パックは珍しくないご時世ですが、工業的に生産されるものは大容量でも品質はほぼ同じ。少なくとも消費者が気がつけるレベルでの差はないはず。

嗜好品ですと、例えば大きなペットボトルのコーラの炭酸の圧力が低めでそれに合わせて元の味も少し微調整して変えてあるかもといったことはあるでしょうけど。

一方、流石にコーヒーのように農産物が原料だと事情は異なりますので、ある程度の差異が生じるのは仕方がないとは思うのですが、これはちょっといただけない。

確かこのメーカー。80年代の中頃から当時の大手コンピューターメーカーとタイアップして、焙煎機の周りに多数の温度プローブをつけることで、季節や原料の差に影響されにくい完璧な焙煎環境を実現したと、一般の雑誌にもデカデカと広告を出してPRしていた記憶があります。

そこから40年近く経っても、結局、ここまでのムラというかブレが生じているんですね。

これ、大手ブランドが不誠実というより、コーヒーの焙煎というものの難しさ、奥の深さを象徴しているという気がします。

ところで、これを淹れても、差はわからないと言われてしまいました。ガーン!

そんなことないでしょ。こんなに九州人が嫌う、酸味がちらほら目立つのにぃ。

自分の味覚が今のところ、100%信頼できる状態にないこともあって、なんともいいがたい状況で、もうただ苦笑いするほかないです。

え、コーヒーは苦いのが当たり前だって、いやそうじゃなくって!

味噌、醤油、みりん、日本酒、お酢とカカオ豆の共通点

タイトルに挙げた発酵食品に負けないくらい、しっかり発酵しているカカオ豆。産地によっては、かなり酢酸につけたのではないかと思うくらいの、お酢らしいフレーバーがしてきます。焙煎した後の変化も面白い。実は結構、コーヒーのテロワールとも似ている感じがしたりするのですが、これ、ひょっとしたら、気候や天候の精製への影響などで変化する環境中に存在する微生物の種類の差が影響しているのではないかと思う点も多々あります。

たとえばタンザニアのカカオ豆、コーヒーに負けない酸味。これ、精製に携わっている現地の方の好みとかも影響している可能性ありますけれど、単なる植物としての豆の生育条件の違いだけで説明するのは無理ではないかと思っております。

今、味覚(嗅覚)のリハビリ中で色々やってみておりまして、先日、たまたま手に取ったプライベートブランドのみりんを試してみました。原料が外米というのは一応覚悟していたのですが、純米で糖類の添加がないので自然な味がするだろうかと味わってみたのですが、ちょっとこれは。なんというか、十数か月から数年ぐらい、米櫃の底に溜まっていた米の屑を集めて発酵させたようなフレーバーが支配的でした。というかかすかにねずみが齧ったようなフレーバーがするというかなんというか。

いくらなんでも、このレベルの品質の商品を全国展開するブランドで出しているとは。

30年以上続いた日本のデフレの後遺症が現れていると思いました。(それでなければ自分の後遺症の影響でしょうか)

いや、飲めない程でもないのです。しかし料理に使ってしまうと、せっかくの素材が台無しになりそうなので、逆に同じPBブランドのりんご酢ブレンドして水やお湯で薄めて消費してしまうことにしました。基本下戸なのですこしずつしか飲めないのですけれど、購入したのが一番、小さな瓶で良かったです。実はそもそもが空瓶をリフィル用に再利用してしまおうと思って買ったものでしたので。

国産が必ずしもベストとは思わないのですけれど、これは明らかにかなり品質の劣る古米のクズが原料。せめて輸入物であれば、国産の平均的なもの以上の品質のものを目標にして欲しかったと思います。というか国産なら、下手をすると飼料用でもこれよりマシではないかと思いました。

かなり味覚は戻ってきて、食事はそれなりに美味しく食べれるようにはなったのですが、まだまだ本調子とはいえず。特にコーヒーのフレーバーについては自分が一部のフレーバーを拡大して感じているだけなのか、それとも、実際にバランスの悪い焙煎になったりしているのか全然判断がつかない状況でして、すこし回り道になっても、リハビリを優先していこうと思っております。

やっぱりコーヒーも完全に国産できるといろいろ安心できて、いいんですけどね。しょうゆやみりんもある程度外国産の塩やら米やら利用しつつも、しっかりとした昔ながらの味を守っている醸造元も地方にはちらちらあります。

同様に、コーヒー豆もせめて精製、ないし再精製から日本でできたらもっと良い。

ただ、収穫したてのコーヒーは正真正銘の生ものなので、少量であっても、国内で栽培できた方がかえって早道かもしれません。