The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

油が馴染みにくかった鉄フライパンの謎解ける!?② ーあ焦がれ、いや、焦がれないはずの窒化鉄へ?

購入直後から、どうにも使いにくかったフライパン。コーヒー豆の油の力を借りて、なんとか黒い皮膜を作ってみましたが、どうしてもハンドルが付く側を中心にサイドの方に皮膜が載りません。

いまだにほとんど鉄の地金が見えている感じ。どうも300度前後まで一時的に熱しないとうまくいかないようなのです。ハンドルとの接続部分がオリジナルよりもいっけん、頑丈でしっかりした作りになっているのが響いて、どうしてもこの部分がちょうど良い温度帯にならなくて苦労しました。

ここの部分だけハンドバーナーで炙ったりすると、今度は温度が高すぎてダメ。

おそらくですが、250度を超えて200度台後半以上の温度をある程度の時間維持する必要があります。先に油が干上がったり、炭化して完全に煤けてしまうとこれもまずい。ギリギリのところである程度の時間踏ん張ってくれないとうまくいかないようです。

これがなかなかの難問、色々やっていて、バーナーの火力を1.1kpa位に維持しつつ、少しフライパンをコンロから浮かして、調整しながら、あとは温度センサの値を無視して、煙の上がり具合とか鍋の色などで判断しつつ、時折、油分を刷毛で補充しながらなんとかコーティングしてみました。

こんなことするくらいなら、初めから窒化鉄の皮膜がついたタイプを購入したほうが断然いいですねえ。この黒皮が出来さえすれば差はなくなるという話もありますけど、最初にこけるとどうにもなりませんから。

それと、同じやるなら、断然、手間も省けるはずですので、やはり念を入れて、ヨウ素価の高いえごまとかアマニ油を用意して準備万端で油慣らししたいところです。
別にわざわざこのためだけに購入しなくても、魚の油は結構、同様にヨウ素価は高いようですので。イワシとか焼いた時に出る油を使えば一石二鳥。さすがにコーヒーの油よりは向いているでしょう。やってみてわかったこと。コーヒーの油は植物油の中でもどちらかというと酸化しにくい部類に入りそう。少なくとも普通のサラダ油よりは安定している。(ということは、この点では深煎りを躊躇する理由はないんですよね。)

今回、色々やっているうちに、プチ高級フライパンが買えるくらいの値段の温度プローブの接触がちとおかしくなり始めてしまって、早くも交換が必要になりそうです。

ううっ。

Artisan for Oil break-in of an old frying pan 2

ひさしぶりに超深煎りの領域へ

コーヒーの油で油慣らしをしつつ、黒い鉄の皮膜を生成しようとするときは最低でもおおよそ230度を超えるところまでは持っていく必要がありそうです。ひょっとしたら、240-250度位まで持って行ったほうがいいかもしれませんが今回は平均ではそこまで持って行けませんでした。火がつく可能性があるのはもう少し高い温度帯で300度超えるところすけど、その手前までは大丈夫。

今回、熱風主体で焙煎する場合と随分、温度変化が変わるような感じがしています。2はぜのピークらしい感じが出てくるのは225度をかなり超えたあたり、発熱反応らしい感じがはっきりするのはこの測り方ではおおよそ平均して230度前後を表示するまで待たなくてはなりません。

今回は蓋をしたままなので、掻き回す代わりに大きくフライパンを傾けながらなので、その影響で温度変化の上下が激しくRORも波打っています。焙煎中のにおいはかなり控えめで煙臭さもほとんどしませんでした。ひょっとしたら、特に後半は酸欠に近い条件に陥っていたかもしれません。

時折、260度辺りを表示するのは、豆の片側の平らな面がフライパンの底に張り付いたままで焦げかかったやつがたまたま温度プローブに当たった瞬間に高い温度が観測されているのだと思います。逆に温度が低く表示されているのはどの豆にも触れず、温度プローブがフライパンの底から離れている瞬間のようですが、残念ながら、それだけではないかも…。

Artisan for Oil break-in of an old frying pan 1

 

これは火力の加減を見るための初期のテストです。

今回、油慣らしを行うにあたって参考した動画を見ていて、その方はわざわざ赤外線の非接触温度計を使って説明してくれていたのですが、その温度帯を見ていると、なんか見覚えあるかなーというか、コーヒー焙煎で使う温度帯に近しかったので、コーヒー焙煎と油慣らしを兼ねて、手持ちの豆を加熱してみることにしました。

実はコーヒーの油のヨウ素価についてはデータが見つからなかったのですが、大豆油のヨウ素価がキャノーラ油より高いらしいこと、カカオバターの場合は、大豆油の3分の1くらいで安定しすぎている(油慣らしには不適)ことはわかりました。小さな種子から作られた油がおしなべてヨウ素価が高めである傾向があるような気はするもののコーヒーの油がどの程度かは未知数。わかっているのは、あえていえばシソ科が有利かも、というくらい。

コーヒーは残念ながらアカネ科なんですよね。(その後の感触では推定50から 100の間くらい)

ま、なんとかなりそうではありましたので、とりあえず実験してみたのがこちら。


 

油が馴染みにくかった鉄フライパンの謎解ける!?①

今、Artisanに使用しているフライパン。実は煮物を含むほとんどの調理に使っておりまして、このタイプで間に合うことはほとんどこれで間に合わせています。他に中華鍋(北京鍋)もありましてたまに使ったりしますけれど、ガスで焼くものは大抵、ごく普通サイズの26cmのフライパンです。この形状のフライパンで家庭用の火力だと、26cmが実用上では実質最大クラスで28cm以上になるとどうしてもムラが拡大したり、火力不足に感じやすい。30cmくらいで実用になるのは炒め用の、中華鍋みたいな形でならぎりぎりなんとかというくらい。実は27cmくらいの方が作る量は限られるけど使いやすい。

さて、このフライパン、一応、某有名メーカーの少し厚手のタイプを選んだつもりでしたので、長く安心して使えると思っていたのですが、使用開始して、そんなに経たないうちに、底面が湾曲してしまって、それだけで、けっこう使いずらい。

それになかなか油が馴染んだ感じになりにくくて、ずっと苦労していまして、なおかつ、ここのところ枝(ハンドル)部分が緩んできて、結構危ない。もう10年近く、いやそれ以上使っているかもしれないのですが、購入履歴もはっきりしないので、交換部品の手配もままならず。

改めて、当時と同じメーカーをあたってみていて気がついたこと。

ほとんどハンドル部分の構造とか同じようにも思えるのですが、肝心の付け根の部分の構造が全然違う。

モデルチェンジしたのかもしれないと、考えられる限り昔の画像も当たってみたのですが、該当モデルがない。

どうも、これ某有名メーカーのコピー商品だったみたい。

どおりで、過去最悪レベルで油馴染みが悪く、使いにくかったわけです。。

こういうことなら、初めからもっといいものをしっかり調べて購入すればよかったと思ってしまいました。

次はハンドル部分を交換しないで済むタイプか、やはり本物のオリジナルを一回試してみるかですね。今使っているタイプは厚みが確か1,6mmか重量からすると、ひょっとしたら1.8-2.0mmあるかないかなのでまだまだ本格的な焼き物には蓄熱性が足りません。

プレス品の場合、丁寧につくられているものであったとしても、残存応力がそれなりに発生するので、極力強火を避けて、予防するしかないのですが。3.2mmとかやはり厚みが倍くらいあると違うはず。薄くても、きちんと作ってくれれば、もっと歪みにくいと思うんですけど、ある程度は仕方ない。

そういうのが許せない場合、鋳物がよいです。(鍛造も)

ただし、鋳物で厚みが4mmとかあると、もう重くて使う気になれません。2kg超えるとちょっと普段使いには結構気合いがいる。かつて2kg前後あるという36cmの厚手の鍛造北京鍋を購入して懲りておりまして、かといって小さめにして重量を抑えるわけにもいかず。まとめて多めに作ったり、色々やることが多いのでサイズは基本26cmくらいないと不便に感じます。鋳物だととてつもなく重くなるのは間違いない。だいたい3キロくらい?

そう思って調べてみると、今、新しい製造工程で軽量化したタイプもあるようでした。ということで、今後は新しいフライパンで、といったんは思ったのですが。

なんだかんだ言って、1kgちょっと超える程度のこの重さは自分にとってまずまず使いやすい範囲に収まっていますので、焼きムラが問題になりにくい調理に使うつもりで、とりあえずは久しぶりに油慣らしらしきことをやってみることにしました。

油慣らしにはヨウ素価の高い、えごま油やアマニ油が向いていることを調べてみて、今回発見しましたが、とりあえずは手持ちのキャノーラ油で代用するしかない。これでうまくつかいこなせるか?

バターコーヒーに初挑戦!?

バターコーヒーなるものを嗜む方がいらっしゃるということは前からちらほら聞いてはおりましたけど、自分でやってみようと思ったことは一回もなく。そもそもバターをつけたトーストを食べた後にコーヒーを流し込めばなんちゃってバターコーヒーの風味がしてもおかしくない、そういう、なんでもないこと、という程度の認識でしかありませんでした。

しかし今回、バターでギーを作って、コーヒーフィルターで濾した後の後片付けをしようと思ってお湯を注ごうとした代わりに、コーヒーを注げば手間がない、ということで、そのバターまみれのフィルターごと使ってコーヒーを抽出してみました。

これ、正真正銘、最高級に本格的なバターコーヒーなのかもしれません。

液面にたくさんバター由来の油が浮いてくるんですけど、それは気にせず飲んでみると、ああなるほど、浅煎りのシングルオリジンのコーヒーの銘柄にこだわるような飲み方にはあまり向かないとは思いますけど、ペーパーで漉し取られる油分を補うといった以上にバターの風味がこーなんというか、コーヒーの雑味感や傷をうまくカバーしてくれて、面白いと言えば面白い。

一年半以上前に焙煎して、長期保存テストで包装した分を開けて試してみると、とくに、こういう入れ方してよかったと思います。いっぱいで物足りなくて、その後フィルタを交換した後に入れるコーヒーも全体的にまろやかに感じます。しっかり洗ってバター分を洗い落とそう、なんていう気分にならないんですよね。ほんのわずか入っているだけでも断然違いが出ます。

なんでしょうかこれ。

一つの楽しみ方としてはこういう感じもいいですね。生クリームとはまた違って。

使ったバターは国産だったので、どんなにギーを作るために加熱してあっても、ミルク感が過剰で邪魔をしています。自分より年配の父くらいの世代には、いわゆる、乳臭さ、という感じで敬遠されてきたミルク臭さ。穀物をたくさん食べさせた乳牛から搾った牛乳からつ作られた乳製品特有の匂いです。

こういうバターの使い方に、NZ産が好まれるわけがやっとわかったような気がします。NZ産はほぼグラスフェッドですからね。

 

バターでギーを作る Artisan for Cooking番外編

火力の記録は隣のバーナーで別のことをしていたのでかなりはちゃめちゃです。

途中から、バターの塊に温度プローブを突き刺しているので、それでボトムが記録されています。DRYENDの手前でほぼ完全にバターが溶けて液体になっています。

火力は基本、0.3−0.2kpa位で推移しています。最後は0.15kpa位まで絞っても温度が上昇している状態になっていまして、この辺りはみりんの煮切りと同じ傾向です。バターの油分以外の水分その他の成分が抜け切ると、温度は急上昇してゆきます。このように温度がみれると、基本火にかけてちょっとかき混ぜるくらいで失敗しないで済むので楽ちんです。

持て余し気味のバターを初めて、ギーにしてみました。

本来のギーは多分インドとかだと、山羊の原乳とかから何やら加工して作るんだろうと思いますけど、バターからだと簡単でした。温度は100度から始めて、自然に120度になるのを待つだけです。

あとはコーヒーのフィルタで濾して完成。途中でバターの温度が下がって落ちにくくなりますので、全体を温めておいて、ギー化したバターも今回みたいに80度台まで待たなくて、120度のままでもいいので、すぐに降ろしてフィルタに通してあげるともっと早いと思います。

今回、途中で落ちるのが止まりかけたので、電子レンジの解凍モードでゆっくり再加熱してみました。様子を見ながら間欠的に数分間。

後は放っておくだけで、意外に手間要らず。もっと早くやってみればよかった。

わざわざギーを取り寄せるのも、毎回少量作るのも大変なのでセールのバターをストックしておいてまとめて作るようにすればよかったと今更ながら思いましたけど、とりあえず、簡単なので、またもう一度や2度くらい、やってみもいいかという感じです。

とにかく、ある一定以上の納得できる品質のオリーブオイルとかとんでもない価格になってきつつあるので、今は少量でも使いたくない。かといって、安いのはサラダ油にプラスチックを混ぜたような変な感じがするものが多い。仕方なく、代わりに他の油脂を使う料理方法にシフトしているので、今回はギーで色々試してみようと思います。

原料のバターも決して安くはないんですけど。かわりにマーガリンと思っても、トースト以外は自分の場合代用が難しい。ちょっと体が受け付けない感じ。もう、サラダ油の方が全然いいですよ。

で、肝心のトーストそのものも下手すると数ヶ月から数年に一回くらいしか口にしないものですからマーガリンは出番がなくて、いつも買うと冷凍庫の肥やしになっています。

Artisan for Cooking; making Nikiri Mirin

Making Nikiri Mirin with a little bit help of the Artisan

先回の4倍量を少し大きめの鍋で煮切ってみたところです。おそらくその気になればもう少し低めの82度台くらいの温度をキープすることもできたし、本当はもう少し高めの86−88度くらいの温度をキープした方が仕上がりはもっと早かったかもしれません。今回はたまたまバーナーの調整がスムーズで立ち消えしにくいかなと思ったところがこの辺りで、当初大体84度前後をキープできる条件で始めています。

50分すぎてもまだまだ酔っ払いのおっさんの酒臭い感じの匂いが完全に抜けませんで、意外と時間がかかっています。

この条件の場合、88度でも不十分で、一時的に90度超えるか超えないかくらいのところに持ち込まないと煮切った感じがでませんでした。

エチルアルコールの濃度が低くなればなるほど、沸点は上昇して、それだけ温度を高くしないと水分子との絆を断ち切って大気中に飛び出すことができなくなるんでしょうか。

アルコール0.1%未満とか言い切れるくらいに完全に煮切るのは意外に難しい。

かりにできたとしても、そこまでやるとみりんの風味はかなりのところ、とんでしまうかもしれません。

これでも、仕上がりはかなりみずあめっぽくなりますからねぃ。

で、先回のものと比較してみたところ、時間をかけすぎ、煮詰めすぎ。でした。

使用した鍋は浅型のものでしたが、やはりこういう作業には寸胴のようなタイプが向いています。今回の結果からは低めの温度をキープした方がフレーバーが残るとか、はっきり言えません。逆に、というか単に余計に煮詰まらない方がどちらというと好ましい感じがしますので全体の時間を短縮する方向が良さそうです。

目的次第ですが。煮詰まった分は後で薄めればいいという考え方もできるので、こちらがダメというわけではありません。あえて言えば時間とエネルギーの無駄になりやすいということです。風味については検証してみないとなんともです。

これを元にかえしを作ってみようかと思っていたのですが、ちょっと多めに出来上がったので使い道を考えて、試しにコーヒーの甘味料にしてみました。

砂糖よりも自然な感じ、ごく淡いコーヒー由来の甘味に近い感じがしますが、やはり元々のみりん自体の糖分はそんなに濃くないので、せっかくのコーヒーが薄まってしまうのが玉に瑕。とはいえ、結構、甘味料が入っていると気が付きにくいところがあって、面白いとは思いました。コーヒーの方を普段より濃いめに入れて合わせればいいわけですから。

最近、ビアーグラスとかワイングラスを使ってホットコーヒーも評価してみているんですけど、これをやるとどうしても拡大されてしまう雑味をうまくカバーしてくれるし、アイスならもっといいかもしれません。コストや手間を考えるとメリットないので、単なるお遊びになってしまいますけど。

Artisan as a cooking tool; Dropping off the alcohol in making Nikiri Mirin for Kaeshi

揮発成分はエタノールだけではないということか

今回、バーナーの火力は正確に記録できていません。しかも6分あたりから15分あたりの途中で失火してしまっています。だいたい5分あたりで0.2kpaを切って0.15kpaあたりの最小の火力に合わせたのですが、絞りすぎています。これがなければ全工程は10分以内で終えられたかもです。

アルコールの沸点が78度であるといっても、水その他との混合物であるみりんはこの温度だとアルコールがうまく飛ばせるとは言えない。

80度を少し超えるくらいから、熱燗をしていて、温度が上がりすぎた頃合いみたいな、一般のアルコール臭い、焼酎くさい匂いが強めにしてきます。この辺りは父がどちらかというと飲んべで焼酎の味を覚えるまでは熱燗が多かったので、幼い頃頻繁に嗅いだニオイでして、しっかり覚えています。ともあれアルコールと水分子の結びつきはそれなりに強いので実質の沸点は上がるようです。

一般に言われていることからすると、風味の劣化を抑えるにはなるべく80度を少し超えるくらいで、最大でも85度も超えないくらいで長時間キープできた方が良さそうです。85度を超えて、90度に近づくとまた匂いが変わってしまって、エタノール以外の分子量の高めのその他の揮発成分が主体になりがちのようですのでその前に火を止める必要があります。

具体的には熱燗が程よく温まったか、温まりすぎたかという加減で、アルコール臭さがピークを迎えたら、火力の調整を意識して、十分にエタノールが飛んで、特有の臭いが収まりかかる頃に火を消して、止めるのがベスト。火力は控えめなままをキープしていても、沸点が低いエタノール分の大半が飛ぶと、エタノールの気化熱により抑えられていた温度上昇率は高まります。このため、火力は最小限に絞っていてもそれまでよりも急激に温度が上がってくるので、85度を超え、おそくとも88度になる手前で降ろすということをしてみました。

今回、使用したみりんは、一応、表記状は、本みりんといえども、実質は水飴と安い麦焼酎の純度の高めのものをあわせたんではないかというくらいのもの。自分の普段使いたいものと違って、用途がみつからなかったので、冷凍庫の中に眠っていたジャンボゆずの果実と合わせて、これを甘味料代わりに使ってみました。

酔っ払わなくて済むのが良いです。

主にエタノール以外の揮発成分の影響かと思いますけど、エタノール臭がないのに、独特の軽い酩酊感は残りますのでこれを飲んだ後は運転とか控えた方が良さそうです。

 

Artisan for Cooking; stir-fry to boil

実際は調理の途中。

俗に炒め物といったり、よく〇〇を炒めるといいます。英語で表現すればstir-fryくらいしかないんでしょうけど、これ、実際の調理中には水分が抜け切っていなければほとんど100度超えない範囲に収まっていたりしまして、煮るとの境界線をどこに引くべきかということはあります。

通常煮るでは100度を僅かに超えることがひょっとしてある程度の範囲でして、とろ火だと80度以下にもなったりします。対照的に炒める、もう少し高い温度になりますが、こちらも水分が蒸発していればたまに沸点上昇の影響で100度を少し上回るくらい(ただし、アルコールがあると沸騰して見えても80度位のことがある)。ほとんどの食材は100度を大きく上回る温度になれない。加熱の仕方によっては110度超えたあたりから急速に水分が抜けて焦げてしまって、その段階ではもう、食べ物でなくなりかけているのです。

このグラフの前半で少量の油で鶏肉の出羽元を加熱していますが、温度が急上昇して120度になるくらいにはもう、ほとんど鍋底の水分は無くなっていて、僅かに時折、蓋の上から落ちてくる水滴のみ。鍋底に触れた鶏肉には焦げ目がついていて、裏返すタイミングでした。この手の料理で弱火で3分とか4分とか指定があることが多いですが、実際には鍋の材質や大きさでかなり変わってきます。指定の調理時間で終わる火力に合わせるとうまくいくことが多いのですけど、最初は手探りになりがち。

その点、キチンと、いやきちんと温度で見ると、初回でもはっきり裏返すタイミングは見ることができます。加熱の仕方が極端でなく、適正な範囲であれば比較的短時間で確実に内部に熱が加えられて、内側が生焼けで終わることはありません。

肉の内部に温度センサを突き刺して、調理する道具が最近ネットで出回っていますけれど、純粋に肉の旨みを引き出して封じ込めてしまいたいローストビーフみたいな料理なら内部温度優先でしょうけれど、香ばしさとか、料理の全体的な仕上がりを見るにはむしろ食材が触れる部分の鍋の温度とか外側の温度の方が重要かもしれません。

特に熱の伝導性は焦げの層ができるかできないかで全く変わってしまうし、そもそも炭化してしまったら、話にならない、けれども、ある程度の高温にされされないと生まれない風味がある。その温度は120−190度くらいの広い範囲で条件によって様々、焦げるか、好ましく香ばしくこがすかの瀬戸際を攻めることも時には必要だからです。

この辺りは結構、コーヒーにも通じるところがあるような気がするところです。

鶏肉の場合は香ばしくこがす、炙るというのは特にブロイラーの皮の周辺とかいいと思いますが、ただでさえ淡白な風味が抜けたり、マスキングされてしまうので、加減は結構難しい。今回は脂身のすくない出羽元でコトコト煮込み前提の調理なので、そこまで加熱せず次の工程に進んでいます。

Artisan as a Cooking tool 3; making of the cram shell pasta

今回、たまたま、はまぐりの親戚みたいなホンビノスとかいう、大型の二枚貝を久しぶりに大量にお安く見かけたこともあり、面白そうなのでついでにパスタにして測ってみました。いわゆるコスパでいってもパスタ弁当より安く作れそうなくらいでしたし。

茹でている間はほぼ100度ですが、うっかり肝心のソースが干上がってしまわないようにソースの温度を測りながらやってみますと、泡が立って、いっけん沸騰しているように見えても、貝に火を入れている段階ではほとんど80度台前半から外れないんです。それもピッタリ80度少し超えたくらいで収まっています。これはソースのベースに使ったワインのアルコールが蒸発している影響でしょうね。

途中から100度近くになっているのは実は茹でている麺の方に温度プローブを移したからと思っていたら、たぶん、その前に最後のシェルが開いていまして、その頃、ほぼアルコールが飛んで温度が急上昇しているみたいです。もう少しと思っているうちにあっという間に干上がってしまうことがあるのはこれが原因でしたね。一般によくやるように、途中で塩が入った茹で汁をソースに足さないと危ないです。麺は8分ほど茹でてから、ソースと合わせて1分少々加熱。そこから、味を整えたりしながらのトータル12分です。麺が茹で上がる間に貝から身を外しています。このあたりは身が小さなアサリと違って、短時間で済ませられてよい。

実は、まるで高級マーガリンみたいな風味に失敗したーと思っていたフランス製の発酵バターを今回初めて料理に使ってみた、のですが、なんと、アサリと違って、本当にあっさりとした風味の、ほとんど味がないと思われかねない、このごくごく淡ーいこの貝のソースにはピッタリでした。これ、一般のミルクくさいくらいの国産だとバターの風味に負けてしまって、ほとんどだいなしになってしまって、倍量の貝を使ってもどうにもまとまらないところです。

これに、パルメザンと取り違えて購入したイタリアフランス製のチーズ(熟成が足らないのか普通の生っぽかった。開封後は冷蔵庫の中で固くなりましたけど)を無理やり削って少しかけると、おお、本当に初めての味。いかにも岩塩を使った感じのチーズです。ちょっと塩辛くなりますが。以前割安な代わりにひょっとして味の素を使って味を補強したんでは無いかというくらいの大味の36ヶ月長期熟成をうたうパルメザンチーズを購入してしまって、あまりに固くて削れない上に、なかなか減らなくて消費するのに困ったものですけれど、今回は値段も控えめだったし、これは割といいかも。国産だとどんなにたくさん量をつかっても満足しないことが多いけど、こちらは使用量は数g位のごく僅かでいいんです。これにほんの少しだけ、黒胡椒をかけると、なかなかいけます。今回は少し昔に買って風味も落ちた胡椒でしたけど、なぜかこれくらいがちょうど良さげ、マレーシア産とかインド産の新しい袋もストックしてあるんですけど、そういうのだと胡椒の風味が強すぎて負けそう。

バターは、欲を言うと、グラスフェッドであって欲しい。フランス産でそう言うのはこの辺では手に入らず。あっても超高価。とはいえ国産だとさらに生産量が少なくて、入手はもっともっとさらに難しい。自分としてはそこまでせずともNZでいいんです。季節で風味が変動するので、当たればなおさらですけど、120%ハッピーなはず。コーヒー豆で言えばなんでしょうか。ブルーマウンテンよりケニア、いやちょと違うか。せいぜいグアテマラタンザニアくらい??

チーズに限らず乳製品、酪農製品、精肉は新大陸、南北アメリカ産で安くていいものはいくらでもありますけど、地方の丁寧な作りのものはその小さな町からほとんどでないくらい希少であったり。アルゼンチン産の牛肉なんてもうまったくといっていいほど、現地でないとまず手に入らないので、日本では諦めるしかない。で国産いいものはさらに、輪をかけて品薄。なので、こちらはある程度伝統的な作り方を守りながらも量を生産しているおフランスかヨーロッパのどこかの本物のパルメザンを入手して久しぶりに使ってみたいところ。本物はなかなか減りませんのでそんなに贅沢とも言えず。そもそも国内ブランドのチーズも原料はほぼ輸入ですからね。今回試したものを冷蔵庫で熟成させつつすこしずつ消費すればちょうど良いかも。

使用したワインは間に合わせの白のあまりでしたけど、封を切って時間も相当経っていたので香りもなく、水に近いくらい風味の薄い元ワンコインが、逆にまったく癖がないので、却ってバランスは良かったみたい。お高いものがいつもベストマッチということはいえないのかもしれません。今まで日本酒とか紹興酒とか焼酎とかいろいろ代用を試みていますけど、やはりこういう料理には本物のワインかおねごろの範囲でぶどうジュースでない輸入ワインの中で選ばないと厳しい。

グラフで沸点が100度超えているのは塩を入れた影響のようです。火力で少し温度が高くなったりしていますので、温度を見れば大体の火力もわかりそうなくらい。ちなみに使用したバターは無塩です。有塩は塩辛く感じて食べられなくなりつつあります。

途中で茹で汁を加えた影響までははっきり記録できていません。