The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

2021-02-09から1日間の記事一覧

父の守護天使

まだ、私が5歳になるかならないかというころ、父はしょっちゅう腫れて、悩まされている扁桃腺を手術で切除する決心をして、あるクリニックにかかりました。 予定ではその日の午後には目を醒まして帰宅できるはずでした。 ところが手術が終わって麻酔が溶ける…

祖母と肺炎騒動

以前、父や母と一緒に暮らしていた時期、父が肺炎になって、高熱を出した時、うなされながら、 かあちゃん、かあちゃん、かあちゃんが迎えにきた! と叫んだことがありました。 死後の世界などけっして信じなかった父がそのようなことをいうので、その時は、…

最期の晩酌 ③ 父の魂は何処?

父を家に帰す前後から、母は時折、まるで父が目の前にいるような感覚で話す瞬間があり、てっきり、あの父も、ある境涯に達しているのではないかと思っていました。 といいますのは、多くの病床で末期を迎えつつある方は、執着から離れて魂としての感覚を取り…

最期の晩酌 ②

父の喉はたくさんの食べ物を与えられて、膨らみ、それまで口の中に溜めることのできていた痰はいつの間にかおさまってしまって、口の中がカラカラになってしまいました。 唾液も含めて口腔内に溜まったものを吸い出していた分がほとんど出てこなくなったので…

最期の晩酌 ①

午後になると休憩に入っていた弟夫婦が買い物袋を抱えて帰ってきました。父に考えられるだけ、ここ数年、特養に入っていた時間に食べられなかったものを食べさせるつもりのようです。 その中には焼酎やら、刺身やら、もう、看護という立場なら絶対に口にさせ…

それからの延長戦 ③

そんげんこた、わからん、は目に見えないものを一切信じようとしなかった父らしい言葉ですが、この後に及んでも、精神的な実体としての人間の本性、いわゆる魂のようなものについて、ほとんど自覚がないということでもありました。 こうやって、言葉も出せな…

それからの延長戦 ②

2日目の昼にはなんと病棟の看護師さんがSWさんと一緒にきていただいて、父の様子を見ていただきました。 昨日よりも落ち着いている様子に少し驚いているようにも見えました。急場で作った吸入器をお見せして説明すると、(社交辞令かと思いますが)勉強にな…

それからの延長戦 ①

日付が変わってしばらく経っても、父の呼吸は間欠的で、弟はもう長くないだろうといって、私と母に引き継いで、自宅に帰ってゆきました。 それでも、午前4時くらいになると、さらに呼吸は落ち着いてきて、しっかりとした腹式呼吸が現れるようになり、体に自…