The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

オーストラリアと日本と

主だった国の中で唯一、スターバックスのお店がないのがオーストラリアというのをご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

それだけコーヒーに対してまっすぐ向き合っているということか、アメリカ風のアレンジはオーストラリアには受け入れられず、撤退してしまいました。

なんでも受け入れてしまう、日本とは対照的です。

その理由の一つは1950年代に多くの移民とともに入ってきたエスプレッソをベースとしたオリジナリティの高いコーヒーがオーストラリアとニュージーランドで主流のコーヒーの楽しみ方として定着していることが挙げられます。

いくら、アメリカのスターバックスが世界中の人々に愛されているといっても、エスプレッソについては自分たちの方がむしろ本場という意識もあるのかもしれません。

でもそれだけではないと思います。なぜって、それはオーストラリアが日本以上にアジアの主要コーヒー生産国と距離的に近いことがやはり影響していると思うのです。どうしても低地が多く、ロブスタが多かったり、苦味を特徴としたマンデリンの産地が近かったり、といった条件の中で、それらの豆の特徴を生かそうとして進化した結果ではないでしょうか。

日本にとっても参考にすべきことがたくさんあると思いますし、最近、イタリアでなくて、オーストラリアにエスプレッソの修行をしようと出かける方もいらっしゃるようですが、正解だと思います。

日本も、アジア・オセアニアのコーヒー圏の一員としてのスタイルを持つべきだと思います。(新旧、和洋取り混ぜて並存している日本の良さは良さとして残しつつですね。)

あえて世界の中でお手本とすべき国を1つ挙げるとすれば、それは第一にオーストラリアなのかもしれません。

ちなみにオーストラリアと日本との付き合いの始まりは、実はほとんど先の大戦

イギリスへの宣戦布告とほぼ同時に英連邦のすべての国と戦争状態に、日本軍の空爆や潜水艦による攻撃で当時のオーストラリアは大きな損害を受けています。最初のとっかかりは最悪だったわけです。

戦後は、地理的に比較的近いこともあり、高度成長期に向けて、工業生産が増大してゆく中で、オーストラリアの石炭やポーキサイトなどをはじめとした資源を輸入し、日本から完成品を輸出するという関係で、かなり長い期間、オーストラリアにとって最大の貿易相手国は日本でした。

経済的な結びつきに止まらず、今後はコーヒーを通した文化交流が進んでさらに相互理解が進めばいいんですが、ちょっときっかけがあって調べていて、30年以上続いていたオーストラリア国営放送の短波ラジオの日本語番組が今更ながら1990年に終了していたことに気が付いてほとんどショックを受けています。(後、BBCさえも)

(今は死語となった)パソコン通信などのPCを使った通信手段の普及も影響していると思いますが、それだけ、世界の国々にとっての日本の地位が相対的に低下しているということでもありますよね。

いつの間にかオーストラリア最大の都市がメルボルンからシドニーになっていたり…

 あの、ウォルティングマチルダのメロディーもワライカセミの声も聞けないなんて、あとあの、ビックベンのしんせきみたいな鐘の音も。寂しい限りですなあ。