ヨーロッパの国々は早くから世界各地に出かけていった分、そして、植民地(プランテーション)を持っていた分、より産地と深い繋がりをもっており、そのことがコーヒーにおいて独自な地位を保持している大きな理由のひとつではないかと指摘させていただきました。
この点、アメリカ合衆国の場合は、ヨーロッパのような植民地は持ったことがないのではないかと思われる方もいらしゃるかもしれません。
しかし、20世紀に入ってから、USAは南北アメリカ大陸を自分の庭のようにして、大きな影響力を誇ってきましたし、コーヒーの生産国として知られるほとんどの国がアメリカ資本の影響下で発展しています。例えば、世界最大の生産国ブラジルも、産地として力をつけるようになってからは、アメリカのいうことを聞かなくなってきていますが、地理的に近いこともあり、コーヒーを通してという以上に深い経済的な結びつきがあります。
たとえば、高品質なコーヒーを生産する国として近年注目を浴びているパナマのコーヒー生産地の近くには中南米最大規模のアメリカ人向け保養地があり、そのインフラがあるからこそ、高品質のコーヒーを精製して輸出することができているのです。
品質の優れたコーヒーをより多く生産するには、それなりの資本、技術、インフラが必要なのです。
それらを提供してきたのがアメリカであり、メキシコから、中南米、南米のブラジル、コロンビアまで世界の生産量の過半数を生産するアメリカ大陸のコーヒー生産地に多大な影響力を持っているのがアメリカ。
そのアメリカがコーヒーの世界で中心的な役割を演じるのはある意味必然と言えるかもしれません。
特に、スペシャリティの世界ではコーヒーの精製や鮮度が大切にされるため、主要産地に近いというだけでもはるかに有利です。
日本にとっては、ブラジルはほとんど地球の裏側ですから。いくら日系人がたくさん住んでいるといっても、この距離の差を埋めるのは大変です。
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