今の葬祭場の設備は1000度を超える温度に達するため、骨以外はほとんど残らず、祭場の煙突から天高く舞い上がって、そのまま高い世界にいけるようです。
ほとんどまっしろになったまだ温かい父の遺骨。
正直、寝たきりの高齢者にはありえないくらい立派な骨でした。
特に毎日長時間ランニングして鍛えていた足の骨はずっとねたきりでいて、骨重も減っているはずなのに、実にがっしりとしていて、大腿骨の骨頭なんて、ほんとに工業製品にみたいに綺麗な形なので、そのまま人工股関節の材料に使ってもらってもいいくらいでした。
なんか、もったいない。というと変ですが、本来なら、まだ20年は現役で頑張れた感がするのです。
さすがの父も1000度の高温には勝てなかったわけですが、長年鍛えていた足の骨だけは、本当にまだまだ誰かの体重をしっかり支えるくらいの力強さを残していました。
果たして、父の魂はどこにいってしまったのか。
その後、ほとんど父の気配らしきものは感じられないので、
いくところにいったと思いたいのですが、それはそれで父らしくない。ちょっと夢の中でも化けて出る方が父らしいような気もしてしまう自分がいるのです。