The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

お米のおいしさと天日干し③

実家に帰るたび、毎回ちょっと押し付けられるように帰り際に受け取って、しぶしぶ食べていたお米。玄米で食べても精米してみてもなんとも冴えない味でいつもなかなか減らず困っていました。

先々月かあるいはもっと前だったかと思います。久しぶりに家に帰って、帰りしなに渡されたお米の袋が裂けてしまって、大半のお米を庭にぶち撒いてしまいまして大変な目に遭うという事件がありました。

慌てて拾い上げて、そのまま、たくさんの異物が混じったまま別の袋に入れ替えて持ち帰ったわけですが、ずっと台所の隅に置いてありました。室内は結構湿気もあるし、なにかのはずみに水がかかったり、ちょっと醤油がかかったりというアクシデントさえあり、保管にはとてもベストとはいえない散々な状況なはずで、もう食べられないのではないかと思うくらいの状態で捨てられないまま置いてあったのでした。

一度、戻ってきて試しにすぐ炊いた分は、やっぱり、いつものあの味。ちょっと重たくて、一口食べただけで、体が重くなるようにさえ感じて、積極的に食べたくならない感じ。無農薬でないのはもちろん、おそらくプチ減農薬程度。もちろん天日干しなんかではないはず、なんですが…。

ところが、それがなんと、その後、またまた時間が経って、たまたま新しい圧力鍋で炊いてみたら、あら、不思議、なんだか天日干しといわれて食べさせられたら信じてしまうくらいの豊かな風味、どうしたことでしょう? 米袋を開いただけで、お日様のニオイがぷんぷん、するような本物の天日干しには敵わないし、無農薬やいわゆる有機肥料を使って丁寧に作ったようなお米とも違う、九州のごくごく田舎の普通のお百姓さん家から買っただけのお米のはずなんですが、妙においしく感じられます。これなら、いくらたべても飽きないというくらいなのです。本物の天日ぼしではないはずなのですが、ある意味、それに匹敵するくらいの食べやすさ、というかほんわりとしたあたたかい味というか。

果たして、この違いはどこから来るものか。炊飯に使った鍋が変わったからか、それとも、購入先の農家が変わったからか、あるいはひょっとしたら、水に浮かんでくる異物を時間をかけて除けて研いだので、その分、味に影響したのではとか色々考えるのですが、なんだかしっくり来ません。そんなはずはないのです。

で、一番有力な説は、これって、やはり酵母菌などの微生物の仕業なんではないかということ。

袋を破いて失敗したと思った瞬間。そして、地面に落ちたお米を拾うのはとても惨めな気分だったのですが、なんと、これ、すごいことになったかも。

こんなことで天日らしい味が出せるとしたら、なんという幸運!

そして、これ、間違いなく、コーヒーの世界でも応用できそうに思うんですよね。

つまり、現地でお日様を浴びていない豆でも日本に来てからでも、完成させることができるんではないかということなのです。

もうこれは発見といっていいレベルではないかと。

さっそく再現…できるかな。