The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

コーヒー論争③

今回、どうして、九州(だけではないと思いますが)、地方一般により深めの焙煎が好まれる傾向にあるのか、改めて考えてみました。

関東やら、中部やら、中央に近い地域で活動されておられるかたにしたら、田舎はコーヒーの本当の楽しみ方がわかっていないとか、スペシャルティクラスの豆の価値が伝わりにくいからだろう、と思ってしまうかもしれません。

九州自体、醤油や味噌からして、甘口が好まれる地域でもあります。

ラーメンだって、豚骨系はどっちらかというと、醤油ベースがおおい関東の味付けとは違って、とんこつのまろやかさというか、こってり感というか、ようするに、おだやかな風味が主体になりがちです、これもいってみれば甘口。関東の方基準で見れば、お子ちゃまの舌に感じられてしまうかもと思います。

でも、自分は関東に住んでいた時代もありますけど、そういうふうには思えないのです。ただ、関東や中部の条件のいいところの水で飲むと、スペシャルティで評価の高い銘柄の良さが際立つなーとは思っていますけどね。

さて、どうして田舎で浅煎りが避けられ、深煎りが好まれるのか。

それには大きく分けて3つの理由があるとくろちゃまめは考えています。

まず、第一は。

田舎は空気や水の質に比較的恵まれていることが挙げられます。(当該地域に住んでおられる方には大変申し訳ないのですけれど)東京ビックサイトのある港区あたりですと、正直、水道水にはかなりの洗濯水やらなんやらが完全に濾過されずに混じっている感じがして、有名な立ち食い蕎麦屋などで食事すると。あ、口から泡がでてこないかなとちょっと思うことさえあります。もっともきちんとした浄水器を使っているホテルやSCAJの会場でそこまで感じることはありませんでしたので、単に浄水器のフィルターの寿命がきているだけの可能性もありますが、全体に明らかに水質は違います。

何が言いたいかというと、大体において、田舎の水の方が澄んでいて、特に西にいけばいくほど、軟水になる傾向にあり、雑味も含めて出してしまいやすい傾向にあって、それらが際立って感じられやすいのではないかとうことです。

2つめは農薬の影響です。田舎は残念ながら、他の成分は少ないとしてもおそらく大気も水も農薬の影響を都会よりも強く受けています。ですから、田舎に住んでいる方の体内ではある意味、耐えられるギリギリに近い成分がすでに蓄積されている可能性があります。とすると、ここで登場するのはコーヒー豆に残留する農薬の影響です。ポストハーベストを含めて、生産から流通の過程を通してコーヒー豆にはある種の農薬の使用は避けることが難しいです。(一部の高価な豆は除く、かもしれません)世界の農業のなかでもっとも農薬の使用が多いのはコーヒーとも言われているくらいですから。

いかに残留濃度が少ないとしても、そして、ほとんどが焙煎中に分解されるとしても、焙煎中にコーヒーの成分と化学反応を起こしたりしないわけがありません。

そう言った成分はコーヒーの味わいに影響する(悪影響とは限りません)だけでなく、多少なりとも体に負担をかけるものである可能性があります。かといって、ポストハーベスト剤などを使わず、カビが発生すればその方がより有害な可能性がありますので、これは必要悪です。浅煎りの場合、こう言った農薬の成分やら、カビ毒の一部が残りやすいので、普段から農薬の成分にさらされやすい田舎の人々にとっては飲みにくい、と感じられている可能性があります。東京に流れ込んでいる川にも同様の成分はあるかもしれないのですが、相対的に目立たなくなっているでしょうし、少なくとも大気にはただよっていないでしょうから、この点では田舎の方が不利とも言えるかもしれません。

よくいえば、田舎の方の舌の方がこういった成分により敏感なはずなのです。