The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

コーヒー論争①

職場などでコーヒーが提供されている環境だと、ハンドドリップよりは、普通にコーヒーサーバーを利用していたりするところが今でもさすがに多いかと思います。

自分が小学生の時分から、70年代後半くらいからオフィス向けのコーヒーサーバーと粉がセットのビジネスは当たり前にあったように記憶しています。当時はコーヒーサーバー自体が結構高価(20万くらい?)でレンタルみたいなことをしても十分ビジネスになったんでしょう。そもそもコーヒーの粉(インスタントでない)自体がそうそう地方の市町村のスーパーで買えるもんでもなかったように思います(MJBとかのアメリカ製品が手軽に買えた都会と違って)

ですから、21世紀の日本で、ここのように、小規模とはいえ、今ではわざわざハンドドリップしていれるなんてちょっとレアだと思います。ハンドドリップは和製英語英語圏だとプアオーバーと言いますけど、これ、文字通りお湯を注ぐとか、上からお茶漬けみたいにぶっかける感じに近いニュアンスもあって、日本式に丁寧にお湯を注いで抽出するスタイルとはちょっと違う。実際、海外の人が実演しているところをみると結構、わざわざフィルタの中の粉をかき混ぜたりしていますから、そもそも抽出に関する考え方が全然違うんでしょう。

さて、今、週1程度でお邪魔している場所では皆さんコーヒーがお好きということで、昼食どき以外はコーヒーが大量に出てきます。これがしばらく前は、一応、日本のブランド(大昔のアメリカブランドでない)の粉らしく、といっていいのか、安定感ある焙煎で最新のミルなどが使われているおかげでかすかに煎りたて感に近い風味さえも感じられて水分補給がわりには悪くないかなという感じだったのですが、ここしばらくはなんだか変。同じ缶なのになんでだろーと思っていたのですが、謎が解けました。

缶はただ保管のために使っていただけで、中身は別物にいれかわっていました。それも今では世界最大級の食品メーカーとなった別のブランドに。

コーヒー豆って農産物です。米もそうですけど、米以上に繊細な部分があると思います。嗜好品ですからね。そして、その時々で品質のばらつきも決して小さくない。

ということは大量に扱おうとすればするほど、どうしても、平均点を下げざるを得ないんですよね。ちゃんとした技術を持ったメーカーであっても大量生産する前提だとそのあたりはいろいろ難しい。そして大量に作る前提だとコストを下げられるというよりも、むしろ大量に売るために安くしなくてはならない。いきおいコストもギリギリまでカットしないといけないというふうになってしまう。大量に売ること前提でビジネスを組み立てるとこうなります。

この製品に関していえば、関東圏ならぎりぎりうけいれられそうですが、九州人が好む焙煎のレンジから外れていることもあって、それだけで一般の方には薄みに感じるようです。それとやはり豆の差は隠せない。

大体、粉を見ただけで、焙煎に失敗したバッチを混ぜた可能性があるのが見え見えなんですよね。芯残りというやつです。浅煎り加減の豆をブレンドしてあげればプチスペシャルティ感がでてかえって評判良くなるかもと思った可能性もあります。この辺りは後追いだと特徴を出さないといけないというのもあって匙加減も難しいところだと思いますが、残念ながら、こういうのは九州の水とは断然相性が悪くなる。本来なら、日本中知らない人がいないカフェの焙煎を任されるレベルのしっかりとした技術を持っているメーカーではあるんですが、全てに最新の技術と最善の手間をかけるわけにもいかないし、全国販売前提で大量生産するビジネスモデルの限界なんでしょう。

さすがにこれ、インスタントコーヒーさえ贅沢品扱いで育った世代からしても、ちょっと耐えられないというかいろいろ不満が吹き出してきて、大量に買った在庫を前にゲンナリしながら飲んでいる状況。

で、これをどうやって飲めるようにできるか、現在、研究中。

結構辛いですけど、頑張ります。