The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

薄口、濃口、甘口②

関東の濃口、実は自分は別の理由があると思っています。

日本で最初に上水を作ったのは小田原でそれを手本に江戸の上水は作られたと言われています。同じ頃、四国や九州でも上水は作られていたようですが。規模は小さい。

ところが調べてみても、関西では明治の頃まで大規模な上水設備はなかったようです。おそらく井戸や湧水が豊富で、水に不自由しなかったのでしょう。

この差は大きいと思います。

つまり人口が増え続けている上、関東ローム層の特性から井戸の利用も限定的だった関東地方では早くから上水に頼る都市環境が作られていた。それも浄水施設がない水道ですから水質も安定しない。季節によっては長い経路を経て届く頃にはそのままでは料理するにもいまひとつ、といったことがあったのかもしれません。かといって川に汲みにいくわけにもいかない。そういうとき、少し濃いめの醤油で味付けするのは都合が良かったのではないでしょうか。

対照的に、水質の良い水が豊富に利用できて、上水に頼る必要性が低かった関西では関東ほど醤油を多用する必要がなかった。

そういう可能性もあるんではないかと。

もっとも、かつて、新鮮な食材の入手が困難だったが故にフランス料理がパリを中心に発展したとも言われているように、関東のそのような条件があったからこそ、江戸ならでわの食文化が花開いたという側面もあるかと思います。

そして、それは現在も続いていると思います。例えば、東京や大阪を本拠地としたメーカーの家庭用浄水器は低価格でも意外と性能良いですからね。

なにがいいたいかというと、今のスペシャルティの発展というのは浄水器などのコーヒーの水にまつわる器具や装備の進化と切り離せないのではないか、ということです、

そういう意味でも最先端は、まだまだ東京あるいは大阪(京都)はたまた名古屋(中部)。

オーストラリアのシドニーやら、ノルウエーのオスロやらアメリカのシアトルやらいろいろありますけど、21世紀の日本も捨てたもんではない。

そして、多少荒削りではあっても、日本の地方にも、ヨーロッパの片田舎にもまけないオリジナルな食文化やコーヒー文化がまだまだ眠っている気がするのです。