The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

ディスカバリー② 焙煎機としてのセカンドインプレッション

まだまだバッチ数はわずかではありますが、実際に手にしてみて、ショールームでの印象とはまったく違い、とても扱いやすいと思います。

なぜか、ガス圧が極端に安定しないのですが、それは、使用しているフューズコックとの相性など、ディスカバリーの外の部分に原因がある可能性が現時点では高いようですので、別にして考えます。

以前は1キロ以上に扱いにくいと思っていたディスカバリーですが、実際は自分で設置までして扱ってみると、かつて、半分自作した小型の焙煎機よりも遥かに扱いやすく安定していますし、3キロと比べても断然扱いやすい。

すべての操作が手を伸ばせば届く範囲で行えるということは大きいし、焙煎機の全体を見渡せる条件であるというのも楽です。そして、排気された空気が部屋に直接出てくるという条件も、けっして、マイナスにならない。特に自分の場合、それだけで、やろうと思えばロクに豆温度も見ないで焙煎しようとすればできてしまいそうなくらいです。

よく言われるディスカバリーの欠点として、テストスプーンを使うと豆温度の表示に影響するから、頻繁に見れないということですが、実際にはそれだけ細く応答性のいいプローブが使えているので、実は豆に当たる空気の温度もしくはドラム内の空気の温度をより正確に反映した数字が見れているということでもあります。

おおよその焙煎の進行具合はむしろ、排気口から出ていく、空気の匂いでわかるので、そんなに頻繁に見る必要はないし、artisanなり、コンパスなりが繋がっていれば、焙煎の経過も表示されるので大した問題はなく、むしろ、細いプローブのメリットのほうが感じられます。

予熱がおもったより、早くスムーズに終了するのも、適切に蓄熱性が管理されている証拠です。しかも、火力を変えると比較的早く豆温度に反映される。これは単に温度センサの追従性が高いだけでなく、実際に、火力と窯の温度がしっかり連動しているのでしょう。特に、このディスカバリーは直火ということもあってダイレクトです。

バッチとバッチの間はうまく対応する必要があります。この点は、3キロとあまり変わりないかも。それでも、火力を落とせば比較的早く応答してくれるので、連続焙煎可能ということもあって、すぐに次のバッチにいけます。これは小型故に大きな意味があります。

たとえば、100gでも250gでも、焙煎中の合間に、次のバッチの分をハンドピックして、終わったら、また前のバッチの焙煎豆をハンドピックして、というサイクルが組みやすい。そういう意味で、とても効率的にやっていけます。

豆の種類が変わったりすると、そんなにテンポよく行かないかもしれませんが、そうでない場合、連続して、回数こなすまとまった時間さえ取れれば、段取り次第で、なれればパッキングまで同時並行でできるかもしれません。

 

 

 

続x4 美味しさの基準

本当は毎日、10バッチずつ位焙煎できたらと思っていましたが、保存するキャニスターも空きがなくなり、どうにもならず。

実は最近、左手を負傷してしまって、洗い物をするのも不自由で、いろいろなことが止まっていましたが、なんとか今日になって、負傷した指以外はある程度効くようになりまして、徐々に片付け始めました。

さて、人が美味しさを感じる要素のうち、中心的なものは、心身に直接作用する、芳香物質の働きによるものではないかとくろちゃまめは捉えています。

心身と言ってもここでは、いわゆる深層心理学で扱うような深いレベルの話や人間が言語中枢を使って行う高度な思考と離れた、ごくシンブルな、体を通して、精神に働きかける作用のことです。

温かい飲み物を飲んで、体があたたまると同時に、こころも温まったように感じるように。コーヒーの、特に芳香物質によって引き出される様々な反応はすべて、おいしさにつながるなにかです。

もちろん、揮発成分のなかには、人が不快さを感じるものもあるわけですが、極微量の毒物がかえって、くすりになるなど、体に良い作用をすることがしばしばあるように、不快のもととなりやすい成分さえも、微量であれば、往々にしてコーヒーのコクを増強することにつながるなど、おいしさをささえる重要な要素として働いている可能性さえあるのです。

つまり、新鮮かつ腐敗していない食用とされる植物にはなんらかの精神を高揚させたり、心身の賦活作用のある成分(珈琲の場合は焙煎前後に生成される成分の元になる物質)が含まれていて、いわゆる、実際に身になる栄養分以上に、人間にとって好ましい作用、もしくは反応を引き起こすことができ、それをおいしいと感じているのではないか。それが特にコーヒーの場合、おいしさの中心的なところにあるのではないかとさえ、考えるのです。

ただし、これはあくまでも物質レベルの話になります。

お試し焙煎 初回分再評価

①ブラジル 見送り

エチオピア ハラー 見送り

ミャンマー

わずかに煎り足りない感じ。昨日の印象が少し後退してしまいました。

さほど標高の高い地域でもなし、ちょっと無理しすぎたのかも。

でも、素材の良さは感じられます。いいコーヒーなのはかわりはありませんが、ありきたりなアジアンコーヒーという気分です。

④とある農園のパナマ・ゲシャ

ようやく、ゲシャらしい香りがプンプンしてきました。酸味もほとんどどぎついくらいに感じますが、少し抽出が濃すぎたのでしょうか。今回は実家の水でなくて、北九州の水でテスティングしています。

ある程度は抽出でカバーできる範囲ですし、これなら、ゲシャを名乗ってもよさげなところをやっとクリアしてきました。

ほとんどあざといくらいの芳香と口中香です。

コスタリカ

少し煎り足りない感じがますますはっきりしてきました。

半熱風だとここだと思っても、行き過ぎてしまいがちですが、直火で同じ感覚でいくと、逆にアンダーになりやすい。少し重たい感じも。

どうも、煙突に相当するドラフト効果が発生する環境と比べた場合、後半、思い切ってダンパーを開いて、なおかつ火力を上げた方がうまくまとまりそうです。

それでうまくいかない場合は、秘密兵器に頼るしかありません。

エチオピア グジ 見送り

ホンジュラス

冷める前に評価して、煎った自分でさえ、⑤と区別できる自信はありません。

それだけ特徴の出にくい焙煎になってしまっているのかもしれません。素材の良さは十分に伝わりますので、いっけん、不揃いな生豆の印象ですが、もの自体はよいはず。

全体に、もう少し排気と火力のバランスを調整する必要がありそうです。

後、煎り止めのタイミングはもっとゆっくりで。

 

 

 

ディスカバリー お試し焙煎 Part2

今のところ、半端に余った豆しか手元にないので、それらを試しに煎ってみました。

ベトナムとパプアの怪しいブレンド シティ+ 130g

たまたま余った豆が混ざっただけのブレンド。煎りあがりはムラムラでまるで下手に手網で焙煎したかのよう。ある種のディファクトを連想させるアーシーさが出てきてしまって、これは飲用に適さないと判断せざるを得ない。

②ブラジル シティ++ 130g

これはある季節限定の商品の、2年落ちの余りのあまり。小倉の水との相性はあまり良くない、上に、時期を過ぎると、どうしても、癖が出てきてしまう銘柄です。

過去最も失敗した仕入れのベスト3に入るもの。たまたまでしょうが、現地で処理したとかいう20キロの真空パックで買った分はこれまで、外ればっかり。

むしろ、スタンダードの方がマシかも。とさえ思えるもの少なからず。

パプアニューギニア 100g ミディアム

まだまだこれからと言う感じも微かにありますが、3バッチ目はやはり良いです。

あいかわらず、良いコーヒーだよね。と言って誰にも同意してもらえそうなほど何の特徴もない代わりに嫌味な癖もない。ほのかに甘い。何となく、上品な香りがすると思ったら、元々苗木はブルーマウンテンの産地、ジャマイカから持ってきたそうで。さもありなんと言う感じ。

でもね、農産物の味は品種だけで決まるものでは決してないのです。

ディスカバリー① 焙煎機としてのファーストインプレッション 

この個体だけかもしれませんが、勝手にバルブが緩むのか、火力がいつの間にか2倍近くなっていたりするので目が離せません。また1.0kpaより下の位置から、上げようとすると、しばらく下がって、いったん、消えそうになって、また上がるといった感じになりやすい。

ごく絞った状態で狭いバルブを開け閉めするとき、こうなるのはある程度は仕方ないのは、物理現象なので、理解はできますけど、もうすこし使いやすくなるように、工夫してもらいたいところです。

いっぽうで、ガス圧のメーターは比較的見やすく、角度のついた位置から見た時もずれは少なめです。針と文字盤の間の距離が近いのはいいことです。

電磁弁で制御してくれるのは安全でいいですが、3キロと違って、250度でガスが突然切れてしまうのは本当に困ります。やっと余熱が終わったかと思ったら、いきなり温度が下がっていて、がっかりします。

それと、1.0kpa以下だと、実際の火力とかなり誤差があるように感じます。

フルスケール3.0ないし3.3kpaにして、多少オーバーしても壊れにくいメーターを特注してもらえるといいと思います。

全体の作りはかなり柔く結びついています。これは良しあしです。

余熱が比較的早く終わるようです。この点は3キロと比べて格段に扱いやすく感じる部分です。

それと、連続焙煎はやはりいい。テンポよく焙煎できますし、ちょうど狙った温度でいいタイミングで投入できるので、焙煎の安定にも役立つと思います。

調子に乗って、後半は飛ばしてしまいそうですが、そこはセーブする必要があります。

実質の焙煎量は1キロの4割位はいけそうですので、サンプルロースターにとどまらず、小さな店舗の業務用として、経営が軌道に乗るまで使用するといったこともできるし、そのまま頑張っているところもあります。

地味に、コンパスと連動したスタートボタンが本体にあるのは、とてもいい。

一方、コンパスのソフトとしてのできは、クロップスターや Artisanなどの後発として作られた割にはプロ向けとはとても思えない。特にリアルタイムRORが見れなかったりする部分は、今の若いロースターには見向きもされないのでは。

フジのポリシーが感じられる部分もあるものの、どちらかというとフジ主催の焙煎講座で使いやすい仕様に仕上げたという感じで、実務の効率化などはあまり考慮されていないような気がしてしまいます。

 

 

 

 

暫定評価 直火 ディスカバリーでの焙煎

①ブラジル GUARIROBA ESTATE ミディアム~ハイ

入手して、かなりの時間が経過しているので、この条件で評価するのは酷ではありますが、商社がフルシティでの焙煎を推奨するのもわかります。かといって、本格的にフレンチ近くまで煎るくらいなら、他の豆の方がふさわしい。もっと早くためすべきでしたが、今回の焙煎ではスタンダードのいい方とあまり差はありません。最初の最初のバッチですので、うまくいく方が奇跡とおもえば、仕方ない。

②イエメン ハラーズ セミフレンチ

販社がシティを推奨しているところをここまで煎ってしまったのは失敗でした。でも、浅煎りだとおいしいかというと、それはそれ。ごく普通のハラーとかボールドグレンとかと大差ない感じがします。マタリの表示はありますが、なんといっても21世紀のマタリは、思わず、はったりと読みたくなります。(豆の値段は安くないです)

ミャンマー 星山 ハニー ミディアム

これは素晴らしい。ちょうどうまい具合に9分ぴったりで焙煎を終えられたのもあるかと思いますが、今回の焙煎でベスト。かつ、原料の品質もぴか一に感じます。

④とあるパナマ・ゲシャ ミディアム

エスメラルダがどうやっても手に入らないタイミングで、試しに入手してみたもの。

キロあたりで過去最高金額払ったはずですが、後半少し特徴的な芳香が感じられるのみでした。全体に、カリブの大粒豆の良さは感じられますが、いまひとつ。焙煎については、もっと積極的に火力をかけてもよかったし、連続して焙煎するんですから、もっと後の方にまわしてもよかったと思いました。

コスタリカ ソノラ農園 ナチュラル ミディアム~ハイ

コスタリカ、いいです。しかもナチュラル。でももっと良さを引き出せたかな。少し排気の加減に慣れたら、もっと良いはず。とはいえ、今回は、星山に完敗。

エチオピア グジ G1 フレンチ

これです、これ。煎りすぎたかなあ、と思っても、しっかりとした味と特徴的な芳香が残る。しかも伝統的なモカにつきものの、ある種の雑味感や人によっては受け付けない香りのかけらもありません。今回の焙煎のセカンドベスト。

⑦ホンジェラス セレクトマウンテン SHB ミディアム 

最近、この国を押す、スペシャリティの店が増えたなあとおもっていましたが、あまり真面目に取り組んだことはありませんでしたが、確かにいいです。

中南米の国の豆だなあというのが一発で感じられます。下手なエルサルバドルよりよっぽどよくて、入手しやすい。もっといろいろ試してみるべきだと思いました。

 

全て100gでの焙煎 投入温度は185度から199度辺りまでまちまち。

焙煎時間はフレンチでも10分ちょっとだったり、ミディアムでも11分台だったりまちまちです。

蓄熱性がコントロールされているようで、バッチ間でうまく合わせれば、投入温度一定で、焙煎することも不可能ではなさそうです。

今回のやり方だと3バッチ目から本番で行けそうです。

 

 

 

 

直火 ディスカバリー到着 

 

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何の前触れもなく、突然届く、ディスカバリー

なぜか本日前触れもなく、届きました。ビックリ!

さっそく組み立てて7バッチほど行いましたが、結構使いやすいです。

3キロのバーナー増強タイプで焙煎するときのイメージとかなり近い火力。

この個体のダンパーの具合はまだちょっとわかりませんが、温度センサの反応が良いので、吸入温度が変化しているのが感覚として掴みやすい。

一つ言えば、ガス圧のバルブが怪しくて、放っておくと最初に設定した火力からいつの間にか2倍近いところまで上がってしまうことさえあり、気を抜けません。

これ、どうなっているんでしょうねえ。ショールームや他の場所で使わせてもらった個体ではこんなことはなかったはず。

コンパスも実際使ってみると、思ったより切り替えも早くて使いやすい。本体にスイッチがあるのも地味に便利。

リアルタイムRORに対応できないのがちょっと残念。いや、かなり。

再起動忘れたカタリヤ…は macOSの罠に嵌るくろちゃまめ

新しいマックのOS Big Surも出たことだしと、High Sierraからアップデートして、Catalinaで止めようと思っていたのですが、使おうと思っていたキャノンのドライバのインストーラが対応していないみたいでしたので仕方なく、Big Surにして、試してみたのですが、もう全然、ダメです。

肝心のインストーラは立ち上がらないは、丸っこいアイコンにはしばらくすると馴染んできたのですが、どうも色合いが気に入りません。

それでカタリナに戻そうとして、すったもんだ、の挙句、すごい時間を取られました。

何度やってもタイムマシンも全く役に立たず。

解決法がわかったのは、10時間近く格闘した後。

それは単純、インターネットインストールした後のHigh Sierraは最低限のシステムしか入っていないのか、まともに機能していないのに、焦って次のプロセスに進もうとしていたのが原因でした。

High Sierraの新規インストールの後、必ず必要とされていたセキュリティバッチは2つないし3つあるのですが、このうち、1つは、古くて、一回入れようとして、失敗して、再起動した後は、手動でアップデートを再度確認してあげないと新しいのが出てこない。

つまり、インストール後、最低でも3回は再起動しないとまともな状態にならないようでした。しかもそのうちの1回は手動で見つけるなど、自分でアクションしないといけなくなったりする。High Sierrahをインストールした後の、ソフトウエアアップデートのページはガタガタでどう読んだらいいのか、わかりにくかったので、きちんと確認できているつもりがうまくいっていないままに先に進んでいたようです。

最初にネットワークインストール完了した直後にしっかりパッチを当てていないと、その分のツケを払うことに。

Catalinaのインストーラは、バックグラウンドで、カタリナのインストール完了後に、パッチを無理やりあてようとするのですが、うまくいかず失敗して起動してこなくなえるのです。同様の現象はタイムマシンを使っても起こります。

実は途中でタイムマシンに保存したデータを失ってしまって、なんだかんだでいろいろなセットアップを3回繰り返したので、本当に大変でした。

インストール完了直後、パソコンの前にいないと、このパッチのインストールを促す表示も見逃してしまいがちで、それだけでかなりの確率でコケてしまう。しかも、先ほどいったように、パッチをあてるのは一回では済まないので、ここからは自分で他のパッチがないか探すスキルが必要です。

全て完了するには何度か、このマックについて を自力で開いて、ソフトウエアアップデートのボタンを押す必要がありますが、しっかりパッチがあたる前は表示がずれたりして、何を書いてあるのかちんぷんかんぷんなので、これまたハードルは高い。

ちなみに、Catalinaみたいな比較的新しいOSの場合は、システム環境にアップデートのための新しいアイコン(windows updateみたいなもの)が出ているのですが、High Sierraにはないんですよね。こういう細かいところはアップルのサポーターも把握していないことが多い、で、ネットに頼りたくなるのですが。

ネットの情報では古いmacOSについては正確な情報がなくて調べにくい(この点は昔の方が濃くて確実な情報が探しやすかった)。特にマックの場合、どのバージョンのOSのことを言っているのか、書いている本人も把握していなくて曖昧にしていたりする場合が結構多いので、ググっても、かえって混乱するし、実はマック関連のサポートページもあまり当てにならないことが多い。

結局、表向きはセキュリティパッチといっているものの、ただのバグフィクスをしっかり入れ込むだけのことでした。相当のパッチが含まれているようです。ほんと、Windowsと同じか、それ以上。

というかマイクロソフトの場合、大きなバッチはSP1とかいった感じでまとめて配布してくれるのに、アップルは4年前のOSのパッチもろくに整理していないんですねぇ。

ちょっと意外というか、認識不足でした。ブランクありますからねえ。確かに。

Big surからCatalinaにダウングレードがうまくいかなくて、困っている方は、結構いたみたいで、フォーラムにはそれなりの質問が上がっていましたが、あまり適切なアドバイスはもらえていなさそう、というか、先ほどなんて、アップルのサーバーの方がダウンしたのか、回答を見ることさえできない状態でした。

マックに限らず、OSのインストールや更新の後はしつこいくらい再起動をして、全てのパッチが当たるようにしないと、こんな目に遭います。

ちなみに以上のような現象はHigh SierraからMojave Catalinaの順にアップしてゆくと回避できる可能性はありますが、それはそれで、毎回しっかりパッチを当てていかないと、別の現象に悩まされると思いますので、念のため。 

 

Scott Raoの新刊を読む

知り合いがグーグル翻訳してくれたおかげで、日本語で読めたというより眺めたという感じです。さすがに漢字になっていると全体はイメージしやすいのですが、細かいところや肝心の部分ははっきりしなかったりで、結局原文をみながらになりますが、スペシャルティの世界で話題の焙煎の本を書かれたスコットの新刊を読んでいます。

ネットで集められる情報の寄せ集めで、しかも内容は薄いとの声もあった前著の続編です。

確かに今となってはスペシャルティの焙煎の世界で当たり前と受け止められていることも多い。でも、いろいろやってみて、初めてその意味がわかることもあります。

彼の著作を評価しない一部の人は本当に小型の家庭用の延長みたいなロースターで少量焙煎しているような人たちがほとんどではないかという気がします。最初、自分も読んだ時にはほとんど同じような感想しかもてなかったのですが。読み返してみるとなるほどと思う点も多い。

今回の著作も、自分にとってはほとんど当たり前じゃないかと言いたくなるような部分が大半ではありますが、逆に、というか、小さな焙煎機の改造から初めていろいろやってみたからこそ、わかってきたことも多く、だからこそ、彼の言っていることの意味も今だから、よくわかるというのもあります。あと、あまり真面目に検討してこなかったことで、もう一度、検証し直した方が良さそうなこともいろいろ出てきます。

そのほかにも、いっけんまったくの無駄のような実験もそれなりに意味があったということを再認識させてくれるところもあり、貴重なレファレンスとなっています。

情報の断片としてだけみれば、特別でないとしても、全体として、考え方の枠組みみたいなものは参考になりますし、なかなか、他で得られない視点も多い。

なんといっても、焙煎のアドバイザとして、あちこち顔を出して、依頼者といろいろ試行錯誤した経験から導き出される理論なり、実践方法、標準化された作業手順は日常的に業務で焙煎される方にとって、貴重なヒントになり得ると思います。 

続・続・続 おいしさの基準

3.その個体にとって有用な成分を含むこと。 (甘さを主体とするテイストが感じられる)

美味しい=甘いではないのは確か、特にいわゆる砂糖の甘みにはある種の違和感を感じる方も多いかもしれません。もうそれだけで体がだるくなるような、あるいは、歯のエナメル質が溶けてきそうな感覚を持たれる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、もし味をごく単純な快苦のベクトルで表すとするなら、快 有益=甘い 苦 有毒=苦い +酸っぱい・辛い・塩辛い・渋いとなるでしょう。

もちろん、本来、ある程度の塩はむしろ必要であったり、酸も極端でなければ、体に有用であったりします。また苦みであれなんであれ、成長するにつれて許容範囲は広がってゆくわけですが、人間の味覚はある種のうまみ成分、あるいは体にとって栄養となる成分を、あまいと感じる方向で認知する傾向にあることはおそらくは間違いがないでしょう。

そして、ほとんどの人は珈琲に対してもある種のベースとしての甘みを求めているはずです。

実際、コーヒーの成分には甘味料や砂糖のように甘みを感じさせる成分はないといわれていますが、それでも、焙煎の過程で生じる成分は、もともとそこに、炭水化物を始めとしたあらゆる有機物、栄養分がないと生成されないものであるがために、否が応でも、人はもともとあった栄養分の豊富さを連想して、甘いと感じてしまうのではないでしょうか? 

実際、苦み成分の溢れているはずの深煎りに砂糖なしでも、甘みを感じたりするのも、酸味の強いコーヒーであっても、何とも好ましい酸とかんじられることがしばしばあるように、通奏低音のような甘みと感じられる成分はほとんどの食品や飲料において、おいしさを感じようとするなら、ほとんど必須要件となると思います。

いわゆる辛口と呼ばれるワインや日本酒であっても相当程度の糖が含まれているように、コーヒーにも、糖そのものでなくても、そういった体にとって有用な成分を連想させる何かが一定以上の割合で含まれていない限り、おいしさを感じられなかったり、そもそも、飲みにくくて受け付けてもらえなかったりするはずです。

いつの間にか、普遍的な、おいしさの基準でなくて、コーヒーのおいしさの話になってしまっていますが、後々、整理して改題したうえでアップしなおさせてもらおうと思っております。