The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

(コーヒー以前に)そもそも、この世界は芳香物質で溢れているということ①

たとえば、ハチドリが一生懸命、花の蜜を吸うために、飛び回っている姿を映像なりでご覧なった方は少なくないと思います。

ミツバチにせよ、どうして、あんなに一生懸命あちこちから、蜜を集めてきて、自分たちでは消費しきれないほどの蜜を巣の中にため込んでいるのでしょうか?

貯金が趣味の億万長者みたいにたくさんの蜜を貯めこんで、まるでそれが生きがいのようです。

どうして働きバチはそんなにまでして働いて、休もうとしないのでしょうか?

もっといえば、どうして、何もしないでのうのうとしている女王バチの下で文句をいわず(いえないでしょうけど)不満なく働いているのでしょうか。

自然の摂理の中で働いているから当たり前と思われるかたもいらっしゃるかもしれません。機械のように本能でプログラムされているのだからと。

あるいは、これをシーシュポスの神話になぞらえて、昆虫や鳥の世界でも、生きている限りは労働はつきもの、一生付きまとう義務だと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

果たしてそうでしょうか? 彼らは本当に仕方なく、本能によって働かされているのでしょうか?

そして、彼らにおいしい蜜を提供している植物たちも、みすみす他の動物に盗み取られるために、蜜や果実を自然の摂理によって、生産しているというのでしょうか?

食物連鎖のより下位にあるとみなされている植物は単に動物を支えるためだけに生産しているのでしょうか?

これについては、植物が自分たちを再生産する(増える)ための戦略であるという見方が一般的です。むしろ、植物が動物たちを利用しているということです。

確かにそういった切り口はわかりやすいところですが、それにとどまらない意味があるとわたくしには思えます。

というのは、きれいな色のおいしい果実をつけさえすればそれだけで十分に動物たちをひきつけることはできるし、受粉のためにきれいで目立つ花をつけさえすれば、余計な香りを発散する必要は必ずしもないと思います。揮発性の香りを発散することで、かえって、狙いと違った動物や人間の関心を惹いてしまって、そのまま摘み取られてしまうリスクさえあるのに、蜜をつけるだけでなく、発散しやすい成分を盛大に放出しています。それも特定の昆虫や動物にのみ検知される物質でなく、人間にとってもほとんどの場合、好ましく感じられる芳香成分であることも不思議です。

そこではいったい何が起こっているのでしょうか?