The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

コーヒーの粉

市販のコーヒーの粉は揃っているので、きちんと粒度が揃っていないとうまくはいらないのではないかという人が結構いらっしゃいます。

確かに几帳面な日本人の感覚としては、すべての粒がきちっと揃っている方がピシッとしていて上手に入れられそうな気がします。

果物でも、野菜でも、箱に隙間なく詰められるように選別することを体にいい農産物を作るよりも最優先させるような国民性ですから無理もない。

でも、工場で使うミルの粒度がピシッとしているのは、別にコーヒーの味のためでなくて、細かい微粉が機械に詰まってラインを止めることを防ぐために、定期的に清掃したり、メンテしたり、修理する手間をできるだけ省いて生産性を高めるのが1番の目的のはずです。

それと、やはりある程度細かめの方が粒度を揃えやすく、抽出効率は良くなる傾向にあります。ランダムに大きな粒が入るとそれだけで、全体としての抽出効率は低くなりかねない。とすると、やはり効率を求める世界では評価は低くなります。実際にはあまり細かくなるとエスプレッソみたいに圧力をかけて抽出しないと抽出しにくくなったりもしますが、細かい方が炭酸ガスの抜けが速くなるので、この点でも生産効率は上がるでしょう。パッキングまでの全工程を効率よく管理するには少し細かめに粒度を揃えるのが大切になります。だから、何千万もするかもしれない機械を入れるわけです。

ところで、実際には、ある程度粒度はばらついていないとどうしてもでない味というのはあります。そして、できる限り荒め目に挽いて初めて引き立つ味というのもあるでしょう。

完全に揃った粒でいればコーヒーというのはクリアではあっても本当にみりょくてきかというと、ちょっと疑問符がつきます。

たとえていえば、優等生だけを集めて作ったクラスは真面目でも面白みにかけたり、団結力がなかったり。

逆に一定の割合でちょっと毛色の違う人種がいてくれた方がうまく行ったりといったことはあると思います。

実際には、優等生だけ集めても、その中で自然にばらつきが生じる。一部の人はおちゃらけて全体を和ませる働きをしたり、一部の人は意欲を失うのか、別のことに目覚めてしまうといったことが起こって、優等生の中でもばらついてゆく。それが人間の住む世界、というより自然の法則なのでしょう。

ある意味、適度にバラつこうとするのが自然の法則ではないかと思うのです。