The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

2022年の総括と今後

これまでやってきたことをふりかえりつつ、とりあえず、焙煎量を一キロ未満、500−600gに限定するとした場合で、いろいろ考えていて、熱源はやはりできれば1つ、補助的に使用するとしても2つまでにすべきであろうという結論になりました。

ひとつはディードリッヒの昔のモデルを知人が手に入れたのを、当方でアメリカと同等の火力が得られるようにしたところ、かなり実用性が高いことが判明したのもあります。商売の道具というより家庭用サンプルロースターという感じですけれど。

アメリカの広大な大地ではちょっとコーヒー豆やら粉を買いに行くとしても200km近く車で飛ばして往復しなければならない地域がいまだに多いので、なんでも自分でDIYしようという風土は日本の比ではありません。それに人口も2倍ありますし。マーケット自体もカナダやメキシコ、ヨーロッパと繋がっているからなおさら。

当方の焙煎機でも、おそらくうまく補助すれば500g前後で一キロと遜色ない焙煎環境を作ることは可能です。その気になれば三キロの特性を生かして、一部、上回る焙煎もできると思います。

半ばまぐれだとしても三キロでディスカバリーをシミュレーションできそうな環境が作れたわけですから、一キロのシミュレーションも簡単では無いとしても、不可能ではないでしょう。でもそうすると、結局一キロに入れ替えてしまった方がよくなってしまいます。

ディスカバリー、一キロ、三キロを一台でシュミレートできるとしたら、スペース効率やコストについては有利なので、それは意味のないことではありませんが、再現性や使い勝手を考えると、実際は3台使い分けた方がはるかに良くなりますし、ランニングコストについてはもっと有利です。

今の延長だと焙煎のクォリティに抜けたものがない限り、やってきたことはあまり意味がないことになってしまいます。

私自身の経験値が上がったのは間違い無いのですけれど、肝心のアウトプットが問題です。

ということで、方向転換。燃焼室周りの改変にこだわることを捨てて、100%電気で焙煎する環境を作れないか検討を始めました。

問題は今お借りしている場所の電力が足りないこと。100V  20A といっても、実際は排気ファンなど色々な部分で電力をくいますので、なんとか工夫しても火力に使えるのは半分くらいがいいところです。1kwでは心許ない。というより仮に2kwフルに使えたとしても足りません。

ちなみにディードリッヒ HR-1の発生するカロリーはせいぜい1.5-1.65kw程度で450g焙煎できるとされています。当方の場合三キロの大きなドラムを加熱しなくてはならないので、効率を考えると同じ焙煎量でも3kw前後は発生できないと厳しい。理想は4kw以上です。焙煎量ももう少し600gから800gとりたい。

余熱段階などせっかくあるバーナーを最小限併用することにすればなんとかなるかもとも思ったのですが。

変換時の様々な段階のロスを考慮すると、電気の最初の発生元で6kw程度の出力が必要。となると、今お借りしている場所では間に合いません。この容量になると200V単相でも厳しい。ましてや動力に工事するというのは現実的で無い。色々な意味で引っ越した方がよくなります。というかちゃんとした熱風買ったらという話になってしまいかねない。

建物も、特に夏場に暑いのをなんとかしたくて、断熱材を入れようか、外壁を塗ろうか貼ろうかとどうしようかと検討していて、結局、外側に新しいトタンを貼り付けたり、塗ったりすることにコストをかけるよりはいっそ、屋根から軽量な太陽光パネルを取り付けた方が一石二鳥では無いかということになりました。

ついでにこれを蓄電して焙煎に使うわけです。1日辺り平均10kwh程度のパネル出力があれば当面のすべての焙煎のカロリーを賄うこともできそうな感じです。幸い、今お借りしている場所は日照に関してはかなり条件がいいため、屋根と壁の側面にパネルを置くなどして、通常の一軒家よりもいい条件で発電することは可能です。250Wクラスで11枚分相当からいけるかもしれません。

当面の実験程度でしたら、シンプルにパネル1枚からでシステムを組むことも可です。

調べてみましたら、普通に業者が施工する前提の機材でも、パネルなどは以前調べた時の5分の1以下のレベル(2021年末時点)で部材の入手が可能、だったようです。

尚且つ、日本製にこだわらなければ、中国製の部材で小規模なら十分に使用に耐えるものが、なんとアマゾンで千円台から普通に送料込みで売られていたりする状態でした。昔ほど、丸ごと燃えたり、一瞬にして壊れたりするリスクは考えなくて良くなっているので念の為ブレーカーをつけたりヒューズをつけたりする程度で大丈夫そう。法律も小規模な物については昔ほど厳密で無いようですので、なおさらでこれは下手すると10分の1以下のレベルで最小限の運用ができる条件が整ってきてます。テスラがやっているような小規模でスタックしていく方式なら、コストは劇的に下げることができます。

つまり部材のコストだけでいえば、10年以上前に検討した条件から20分の1以下でできてもおかしくなさそうなのです。いろいろ組み合わせたり、手間をかけたりと知恵は必要ですし、太陽電池パネルについては高信頼の日本製セルが新品で入手できなくなっているのは痛いですが、とにかく、蓄電池は高性能な電池がまだまだ高価とはいえ、以前に比べれば入手しやすくて、信頼性も上がりなおかつ相当安くなってきている。

量産が進んで、太陽光パネルの価格は数年前には補助金考慮しなくても十分にペイする段階に入っているのは確かなようで、なおかつ中国製でもかつてに比べて品質もそんなに酷く無いようです。単結晶なのに折り曲げられる新しいフィルム型のパネルも簡単に手に入る時代に。変換効率も15%近い。これを維持できればいうことないんですけどねえ。

昨今のウクライナ危機や円安の影響で価格は一部で一年前の2、3倍の水準になっていることに気がついて早く手をつけておけばと思いましたが、とにかく、今の電気容量が限られている条件では唯一に近い選択肢になります。

車載用の需要が旺盛なこともあって技術の進歩は目覚ましく、円安の中にあっても、リチウムイオン電池の価格はほぼ横ばいということは太陽電池以外のコストも確実に下がっています。

鉛蓄電池はある程度の規模だとあまりに嵩張る上に寿命や瞬発力、体積や重量を考慮すると今、選ぶ意味はすでにほぼないのですが、最初の実験段階では小規模なのでコストでこちらを選んでもOKかと思います。制御が単純に済むむ部分もありますから。

もちろん売電など考えておりません。そもそも実際に繋がる先は出力を落とした小さなヒーター代わりのランプだけ。そこで完結するミニマムなシステムなのです。

しかし改めてみてみますと、太陽光システムもガレージの上に上げるような非常用電源クラスでしたら、数千円から購入できるキットも結構売られていて、昔からしたら考えられない。

でも、自分が必要なシステムには100倍から1000倍くらいの電力が必要ですので、ちと工夫が必要です。