The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

コージ、コウジ、こうじ

今、部屋の中になんともいえない酒饅頭を蒸したみたいな、上等のふかふかのアンマンか肉まん(豚まん)を蒸したみたいな、それとも手作りパンの発酵中みたいな不思議な香りが立ち込めています。

標準の倍の時間がかかってしまいましたが、やっとこさ麹の出麹を迎えました。

(麹の発酵する香りは、俗に栗の香り、とかいわれていますけど、自分は栗の花の香りがいいとは思わないし、むしろカビ臭く感じる瞬間が多くて納得できなかったのですけれど、道具を片付けた後は本当に不思議な香りがしてきました。)

こうじといえば、仲元工事とか、兜甲児とか連想してしまう世代ですが、そういえば銀座に、そんな名前の老舗の喫茶店があったような。

同じ麹といっても今回のように玄米でやるのはかなり勝手が違って標準的な作業手順はあまり当てはまりません。それでも、やはり専用の箱を使うとやりやすい。

なんのためにこんなことをしているかといいますと、味噌やら醤油やら自給自足しようとしているのもちょっとはあるんですが、もちろん、というかコーヒーに応用するためです。

コーヒー豆に麹を振りかけるというアイデアはすでに数年前にオスロかどっかの大会で披露されていて、アイデア自体はすでに知られています。もう随分前から、やってみようと構想を持っていたものの、実際にこれを実行してみようかと思いついたちょうどその頃、ネットで見つけたので、思いついたのはどっちが先かといえば、おそらくそちらなんですが、その後、音沙汰なし。

せっかくのスペシャルティクラスの豆を台無しにしかねないところがありますから、お金さえ積めばいい豆が比較的手軽に入手できる現在では無用かつ。豆本来の魅力を引き出すという面でもある意味、邪道感満載の技術です。

かといって、いわゆるクズ豆を再生しようというコンセプトなら、あまりに手間がかかりすぎて、あまり意味がない。

でも、ちょっと思うところがあって、いろいろな豆やらなんやら麹にしてみようと思っています。

コーヒー豆はさすがにいきなり取り組むにはハードルが高いんですよね。

コーヒー豆の場合、水につけただけで、もう別物になってしまうところがある。

それでも麹によるかよらないかは別としても、なんらかの発酵技術を精製に生かしてゆくのは日本という国の条件の中ではたんに差別化を図るということにとどまらない意味があると思っています。

この手の発酵技術は東南アジアやアフリカも含めて全世界に普遍的にあるものですが、古来、日本人が磨いてきたものでもあるので、まだまだ可能性はたくさんあるはず。

21世紀後半にはスペシャルティコーヒーの一大産地になっているかもしれない日本の将来のために必須の技術ではないかとさえ思っているのです。