The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

Artisan for Cooking; stir-fry to boil

実際は調理の途中。

俗に炒め物といったり、よく〇〇を炒めるといいます。英語で表現すればstir-fryくらいしかないんでしょうけど、これ、実際の調理中には水分が抜け切っていなければほとんど100度超えない範囲に収まっていたりしまして、煮るとの境界線をどこに引くべきかということはあります。

通常煮るでは100度を僅かに超えることがひょっとしてある程度の範囲でして、とろ火だと80度以下にもなったりします。対照的に炒める、もう少し高い温度になりますが、こちらも水分が蒸発していればたまに沸点上昇の影響で100度を少し上回るくらい(ただし、アルコールがあると沸騰して見えても80度位のことがある)。ほとんどの食材は100度を大きく上回る温度になれない。加熱の仕方によっては110度超えたあたりから急速に水分が抜けて焦げてしまって、その段階ではもう、食べ物でなくなりかけているのです。

このグラフの前半で少量の油で鶏肉の出羽元を加熱していますが、温度が急上昇して120度になるくらいにはもう、ほとんど鍋底の水分は無くなっていて、僅かに時折、蓋の上から落ちてくる水滴のみ。鍋底に触れた鶏肉には焦げ目がついていて、裏返すタイミングでした。この手の料理で弱火で3分とか4分とか指定があることが多いですが、実際には鍋の材質や大きさでかなり変わってきます。指定の調理時間で終わる火力に合わせるとうまくいくことが多いのですけど、最初は手探りになりがち。

その点、キチンと、いやきちんと温度で見ると、初回でもはっきり裏返すタイミングは見ることができます。加熱の仕方が極端でなく、適正な範囲であれば比較的短時間で確実に内部に熱が加えられて、内側が生焼けで終わることはありません。

肉の内部に温度センサを突き刺して、調理する道具が最近ネットで出回っていますけれど、純粋に肉の旨みを引き出して封じ込めてしまいたいローストビーフみたいな料理なら内部温度優先でしょうけれど、香ばしさとか、料理の全体的な仕上がりを見るにはむしろ食材が触れる部分の鍋の温度とか外側の温度の方が重要かもしれません。

特に熱の伝導性は焦げの層ができるかできないかで全く変わってしまうし、そもそも炭化してしまったら、話にならない、けれども、ある程度の高温にされされないと生まれない風味がある。その温度は120−190度くらいの広い範囲で条件によって様々、焦げるか、好ましく香ばしくこがすかの瀬戸際を攻めることも時には必要だからです。

この辺りは結構、コーヒーにも通じるところがあるような気がするところです。

鶏肉の場合は香ばしくこがす、炙るというのは特にブロイラーの皮の周辺とかいいと思いますが、ただでさえ淡白な風味が抜けたり、マスキングされてしまうので、加減は結構難しい。今回は脂身のすくない出羽元でコトコト煮込み前提の調理なので、そこまで加熱せず次の工程に進んでいます。