The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

テンプラっちゃー(temperature)のあげかたについて

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新旧豆温度計の比較

これはもとの豆温度計の位置に使うもので実質はドラム内温度計です。

焙煎の前半を水分を抜く工程であるとしてみると、例えば天ぷらの油の温度はネタにより、160度から180度。カラッと短時間で仕上げるにはおおよそ170度前後の温度が必要かつ適温です。これはたまたまかもしれませんが、乾燥逆転温度と言われる温度ともほぼ一致します。この温度を越えると湿度100%であっても乾燥しやすくなるという過熱水蒸気に特有の現象です。焙煎をスムーズに行うには、実際の豆の温度は別として、ドラム内は最低でも170度かそれを越える程度の温度に保たれていた方が好ましい結果が得られる可能性がありそうです。少なくとも焙煎はすばやくスムーズに進行するでしょう。

さらに穀物を原料としたケーキやクッキーを焼く場合、最低でも160度から170度の温度が必要と言われます。これはいわゆるメイラード反応やカラメル化などの炭水化物を主体とした反応が160度辺りから始まるのと関係しています。

パンの場合は少し温度が高くなり、180度から200度程度の温度をかけます。これはパンが厚みがあることも関係すると思われますが、発酵に由来した様々な成分をじっくり反応させて、おいしく仕上げるのに、それだけの温度と時間が必要ということかもしれません。もちろん、発酵に伴う膨らみ具合とのバランスもあるでしょう。何が言いたいかというと、内部の炭酸ガスが断熱材のように機能して内側まで熱が伝わるのに時間がかかるということです。

(ちなみにシュークリームのシューの場合は、余熱なしで300度まで加熱がちょうどバランスがいいそうです。)

また焼肉などで肉をおいしく焼くなら最高230度から250度が適温という説があります(たぶん高いホットプレートを買ってもらいたいメーカーサイドの説)。これについて、実際肉の塊の場合ですと、内部の温度はあまり高くしない方が美味しいのです。何種類かのタンパク質が変化しておいしくなるタイミングはすべて100度以下、60度前後です。

それでも香ばしい香りを出すために、表面にはある程度高温に晒した方が良いといわれていますが。これには先に述べたメイラード反応が関係しています。温度が高めなのは、鍋の温度と肉の温度には通常でも50度程度の差が普通に発生するということでしょうか。いずれにせよ、豆が触れるドラムも200〜250度位、特に後半は短時間であればそれ以上、熱せられている方がより好ましい結果が得られる可能性があります(限度はありますが)。

実際のコーヒー豆の焙煎についてはどうか。コーヒーの場合は、内部で複雑な化学反応が進行して十分に香味成分が発達するには、表面だけでなく、内部まである程度の温度に達する必要があります。

先に述べたメイラード反応やカラメル化が十分に進むという条件でみて、ある程度の時間をかけて、最低でも180度くらいまでは加熱したいところです。ちょうどこのあたりは1ハゼが開始するタイミングにかなり近い領域でもあります。

ドラム内と豆の内部にどれだけの温度差ができるか、加熱方法と段階によって変わりますし、逆転することもありえるわけですが、仮に30度として、210度、少なくとも焙煎の終盤のドラム内はおおよそこれくらいの温度かそれを上回る程度の温度がないと無駄に焙煎に時間をかける結果になるでしょう。これは特に浅めに煎りあげる場合重要だと思います。スペシャリティの焙煎で後半に火力を上げるケースが多いのは、1ハゼが水蒸気の発散を伴う吸熱反応であることとあわせて、ここいらが関係していそうです。

でも、逆にもっと深く煎り上げる場合ですと、あまり高い温度は豆の中の油分への影響があるかもしれません。

というか、はっきり酸素不足からか煙臭くなってしまう。これは純粋に排気をあげても火力を絞っても、肝心の豆の内部の温度が下がらないと回避できないところです。200度で2ハゼとすると、そこからは発熱反応で内外の温度が逆転してしまうので、この辺りで火力を絞ってもまず間に合わない。深煎りの場合は、かなり早い段階で火力を絞っていく必要があります。具体的には1ハゼは収束した頃には温度の上昇を抑えた方がよいはずです。ここいらのやり方はロースターのスタイルによってセンサ万別、もとい、千差万別ではありますが、どうゆうスタイルにするにせよ、できうるかぎり、ドラム内の温度も正確に測定したいところです。

ところでスペシャリティの焙煎に関する記事は英語圏のものがほとんどで、フジロイヤル 以外の外国製の焙煎機の話ばかり、使われている温度センサは3mmΦくらいのものが中心です。

しかし、フジロイヤル の3キロ にはなんと耐久性重視で6mmΦのプローブが使われており、実はそれだけでかなりグラフの見かけは変わってしまいます。特に、ROR。そこで今回、とりあえず、4mmΦのタイプに変えて見ることにしました。本当は3mmΦくらいの接地タイプにしたいところです。(例えばローリングの7キロの場合、4.5か4.8mmあたりが使われていたと思います。)細いほうが応答性がよくなるので、細めで元のデータがきちんと取れれば後は必要に応じてソフトでスムージングして補正すればいいのです。ただし、1.6とかだと細すぎて豆に押されて曲がってしまいますし、耐久性も劣ります。1ミリだと瞬殺かもです。

 やってみたら、3ミリでも少しずつ曲がってくるようです。毎週1回以上分解しているので、自分の場合、問題ないですが。