The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

2021-02-11から1日間の記事一覧

くろちゃまめの父、死す 

もう、4年近く、特養にお世話になっていた父の状態が悪化し、病院に搬送されたものの、わかりやすくいえば脳死の一歩手前(といったら言い過ぎでしょうが ドクターの見立てでは)ようするに治療の見込みがほぼない上に本人の意思も確認できない、痛みを感じ…

通夜という風習 ②

通夜の式が終わった直後、仕事を終えた父のユニットを担当する3名の若い介護レディズが父の顔を見にきてくれました。 すると、昨夜のあの午前0時前後の奇妙な感覚がぶり返してきて、3人がまるでアイドルか天使のユニットみたいに見えてきてしまうのです。 3…

通夜という風習 ①

よほど手慣れているのか化粧を施された父の顔はまるで人形館のろう人形のように本当にすっきりとした端正な面持ちで輝いて見えます。と同時にいますぐにでも起き上がってきそうな気がするくらいのみずみずしい表情にも感じられます。 急遽、葬儀屋にきてもら…

じっちゃん(曽祖父)のさいご

その日、いつもの退園の時間より随分早く迎えがきて、急遽、父方の実家に赴きました。到着すると、いわゆる仏の間に大勢の親族がすでに集まってみんな見慣れない黒い服をきて、じいちゃんを囲んでいます。 確か白衣を着た医師がじいちゃんを診察して、臨終の…

父方の曽祖父

父方の曽祖父は自分が物心ついた時分にはすでに体を壊していたようで、日露戦争に従軍して貰った勲章を何度か取り出して見せてくれたこと以外ほとんど記憶がありませんが、家庭では王様状態で親戚や周囲の人々からもそれなりに(今でいえば上級市民的に)扱…

4日目の朝 ③ 

店が開く時間になると、父がいなくなった後の自宅が暗いとあんまりだということで、以前から、母が暗いと言っていた台所の照明を買いに出かけて、さっそく新しいLEDに交換しました。 故障や寿命を考えれば本当はパナソニックがいいんですが、某新興電気メー…

4日目の朝 ②

執着が抜けずに臨終を迎えた遺体は死後硬直が激しいとか、本当かどうかわからない話も含めて聞いていて、せめて臨終後の姿が穏やかであってほしいと思っていました。亡くなった直後から、父の顔は少し緩んでいったように感じていました。 いよいよ朝がやって…

4日目の朝の光の中で

父はたぶん、本人としては死そのものを特段恐れていないつもりだったでしょうが、死後に意識が残るとは思えなかった分、どうしても生きなければならないと最後まで念じていました。死とは無。それが父の強固な信念でした。 それも最後は昨夜の体から離れてさ…

2月11日午前1時5分 人生の卒業写真

すべてを終えた後の父の顔はげっそりとした顔つきから少しずつ、生前の状態に戻ってきていました。そこで、その場にいた母と弟夫婦と一緒に写真を撮りました。 ひとつは、東京にいる妹夫婦の為に、いっぱい、妹夫婦や孫の写真を並べて父が一人ひっそり旅たっ…

4日目の朝 ①

3日目の午後、日光浴の前に、脱水症状を回避しようと、それなりの量を胃ろうから入れていたのですが、そのほとんどを吸収できず、戻している状態だったので、仕方なく、再び胃ろうからシリンジで回収せざるを得なくなったことがありました。そのときは水分さ…

2月11日午前1時0分

目がさめると、かつては何でもないことに、一人パニックになって泣いていた母が真剣な眼差しで父に向き合っています。 早く、〇〇に言うち、電話せな 自分には弟に頼んで、病院にきてもらうという意味だと聞こえてしまって、また怒ってしまいました。 この夜…

クロスオーバー 午前0時の世界

まだまだ延々とリズミカルな父の呼吸は続きそうでした。 朝まで長丁場になると覚悟してゆっくりコーヒーを淹れて飲み干そうとしたその時、そのまま自分の体は固まってしまってこたつに入ったまま、動けなくなってしまい、一瞬時が止まったように思えました。…