Coffee Beans Kurochamame

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そこで、豆温度

BT つまりBEAN TEMPとは豆温度ですが、いったい何の温度を測っているのでしょうか?

Loringみたいなアメリカの新しいメーカーの場合、どちらかというと豆の表面温度を測ろうとしているかのようです。これは循環型の熱風式ということも大いに関係していると思います。インレットと排気温度をコントロールできる上に常に十分な風量をシリンダーに送り込んでいるので、豆の表面温度が比較的正確に反映できれば事足りるのでしょう。というかドラムの中で他に測るべき場所はないとも言えます。

対照的に、フジロイヤルの場合、排気温しかなかった時代が長かったからか、今でも豆温度と言いながら、実は排気温に近い温度を中心に測ろうとしているようにも見えます。

そしてプロバットの場合はその中間でドラムの空気の比較的豆に近い部分の温度をより正確に測ろうとしているように思われます。(ダンパー操作もないのでなおさら、適正範囲の焙煎量であればもっともブレが少ないと思われます。)

ところで、本当に焙煎において、知りたい温度があるとしたら、それは何でしょうか?

一つ肝心なのは、豆に加えられている温度を知ることです。

これが大切になるのは、豆に不要なストレスを与えないためでもあります。だって、体温が37度だったとしても、100度の熱風に晒されればやけどしてしまうように、またいくら強火がよいと言っても1000度の高熱に直接さらされたら、丸焦げになるように。実際に豆に加わっている空気やドラムの温度を正確に知るのはとても大切なことです。

ただこれは本当に難しい。特に動いているドラムの温度は測りにくい。

そして、豆がさらされている熱風の温度を測るのも実は簡単ではありません。

直火であれば赤外線などの影響でセンサがあおられて不正確な値を示す可能性が高いでしょう、ガスに触れた空気にもかなりムラがあるのでなおさらです。その点、ドラムの入る直前の温度を大まかに測るのは熱風式では比較的簡単です。バーナーとシリンダーの間が離れているからです。

そして、半熱風の場合は、ドラムの蓄熱の影響の方が大きくなる可能性が高く、直下とは別の意味で正確に豆に伝わっている温度は分かりにくいのです。

その点、排気温度に注目すれば、直火、半熱風問わず、より再現性の高いデータが得られる可能性が高くなります。ということで排気重視というのはわからなくもありません。バイメタル式の旧式の温度計で済ます場合、取り付けやすくて見やすいということもあったかと思います。

でもやはり豆の温度が知りたいと思うのは、直接体温を測って、熱が出ているか判断するのと同じようなものです。もちろん、豆は恒温動物ではありませんが…

ちょうど体温を簡単に測れるわきの下で測るように、豆に直接触れやすいシリンダーの下の部分に埋め込んで、豆との接触が最大になるというのが、こういう考えの方式です。でもこれは簡易的な方法でしかありません。

特に、外から加熱している豆の場合、本当に知りたいのは、内部がどこまで加熱されたかです。外側だけ熱を持って内側が冷えていては話になりません。逆に内部だけ高温が続いていても困ります。もっともそうはいっても、小さな豆の内部温度を焙煎中にリアルタイムで知るのは、これまた無理があります。

しかし、まったく方法がないわけではありません。なぜなら、焙煎の中盤以降は豆の内側から蒸気が噴出しており、その温度を測れば、だいたい豆の内部の状態がどうなっているかのヒントは得られると考えられるからです。絶対的な温度を知ることは重要ではありません。内部がどういう状態であるかが大切なのです。

具体的に言えば、豆の温度が100度前後に達する以前は豆の表面温度が頼り。

中盤に入ると豆の周囲を取り巻く水蒸気の温度が重要なヒントになりえること。

ほとんど水蒸気を放出し終え、吸熱及び発熱反応が始まる焙煎の終盤については、ドラム内温度や排気温にも要注意ということになります。

それぞれをより正確に測れる位置にセンサを設けられればいいのですが、実際には、そこまで必要はないというか、複雑になりすぎるので、どこを重視するかで設置位置も変わるということでしょうか。

熱風の温度が管理しやすい熱風式なら、表面温度だけでほぼOK. 煎り止めのタイミングを見極めるには排気温中心が便利、水分の抜けに伴う焙煎の進行を正確に管理したいなら、豆から噴き出す蒸気の温度をより的確に反映する位置にセンサを置くのがもっとも合理的、と。

そうなると、同じプロファイルと思っても実際は違うことをやっているケースがほとんどだと思います。というのは同じ機種でも設置条件の影響をかなりの程度受ける可能性があります。(この辺もメーカーや機種によってかなり違いがあるようです。)

今取り組んでいる半熱風の場合ですと、ちょっとした排気系統のバランスでシリンダーの中を通り抜ける風の具合が変わりそれに伴って、温度表示はまったくあてにならなくなったりします。また焙煎量の影響も非常に大きくなります。特に少量焙煎の場合は豆を素通りして、ほとんど吸入する空気の温度を測っているだけになって、他と比較参照しても意味をなさないデータのみが残ってしまいます。

最低でも豆の状態を正確に反映した排気温度が知りたいのに、それができない(焙煎の終盤についてはある程度あてになりますが、そこまでが………)。流入する空気の温度だけでも正確に知ることができれば、焙煎を組み立てることは不可能ではないと思いたいところですが、かなり難しい。半熱風の場合、本体の温まり方はわかるのですが、ドラムからの伝熱の影響が大きいのに、そこがまったくといっていいほど反映されないデータだからです。

記録方法も含めて抜本的に対策しなくてはならないようです。