The Coffee Roaster House

just around five pounds retreat

新春早々豆を洗うか洗わないかと part II

豆を乾燥させるにせよ、あるいは逆に洗うにせよ。他に変えられないメリットがあります。それは水分量を自分の好きなように調整できるということ。

今回、乾燥させてみた分とそうでない分を改めて比較してみたところ、微妙に何にもしない方が良い。乾燥させた方ももう少し時間が経つと追いつくかもしれないのですが、手間をかけただけの価値があるかといえば味に関してなし。香りはどうしても僅かに及ばない。ある程度、安定していれる可能性だけはあるものの、逆に乾燥工程にもブレがないように気を使わなくてはないのです。

ということで、やはり一回でうまく焙煎できるように頑張った方がいいだろうという結論になってしまいました。

しかし、逆に洗うという選択肢についてまたまた考えてみました。

冬場はカビの心配がほとんどないので、いろいろな実験がしやすいんですよね。

ですから、この季節のうちにいろいろ試してみようというわけです。

夏場、一部乾燥した環境に置いてしまって、フレーバーが抜けてしまっていた豆をどうしようかと思って、ちょうど良いので、水分を吸収させてみることにしました。

ただ、水に漬けるだけだと、良くても、元の豆の状態と同じか少し劣るくらいの結果にしかならないでしょう。それだとわざわざ手間をかける意味がない。

ということで、なんとかリカバリーもしくはそれ以上のことができないかと思って検討していたところ、水以外のものを吸収させてみることに。

とりあえずは、自分は基本下戸なんですけど、料理の調味料として購入してあった分でもてあまり気味だった、お酒、ワイン、ラム酒(これは焙煎豆をつけてみて分の残り)を利用することに。

やってみると、結構膨らみます。だいたい、フルシティかフレンチぐらいまで焙煎した時と変わらないくらい膨らんでいるように感じます。一晩だと見た目にもムラが多く、十分に吸いきっていない感じでしたが、それ以上置くとパンパンです。

どれくらい置いたらいいかわかりませんが後は乾燥の工程をどうするかです。

やっと水分計を買った意味があるかもしれません。

焙煎前に測るのは、手に持って重さを確かめたり、目で見たり、臭いを嗅ぐ程度である意味十分だったので、実際の焙煎の場面ではあまり使用していなかったんですよね。

 

新春早々豆を洗うか洗わないかと

コーヒー豆は汚いから洗うべきという意見もあります。少なくとも日本人なら、大豆でも小豆でももともとそのまま齧れそうな状態で売っていたとしても、必ず一度は流水に曝してから、調理すると思います。白米さえ洗う民族ですからね。

なんと言っても、夏場の一部地域を除けば、今のところ、日本全国、水は豊富に利用できますから、ケチる理由がありません。

で、スペシャルティなどどちらかというとウォッシュトやセミウォッシュトが主流です。

さらに、一度産地で洗った豆ももう一度洗う方もいらして、もうどうなっているのという感じです。

ナチュラルなどもともと水に浸けていない豆の場合、洗って綺麗になったかと思ったら、水に漬けるとその後の乾燥の工程でどうしても乾き具合に差が出てしまって、デメリットとなる場合が多い。これはかなりの銘店でも残念ながら避けれないと思います。

産地でやるのと同等以上にもう一度丁寧にハンドピックしてやらないといけないのですが、産地でやるのと同等以上に乾燥具合を揃えられるかといえばかなりの難題。下手するとかびてしまいかねない。というかコーヒー豆はもともとある程度カビが発生した状態で日本に届いているケースが実は少なくない。こればかりはスペシャルティも例外ではありません。少なくともある程度の胞子は含まれているはずなので油断できないわけです。つまり水に漬けることのデメリットは産地でやるよりも大きくなるかもしれない。

そこで念を入れて、さらに機械で丁寧に乾燥してもいいですけど、そこまでするなら、産地でしっかり水洗してもらったものを買った方がよい。というかそういうビジネスほど産地に任せるべきというのもあります。

ウォッシュトの場合も、カビの胞子は洗い流されているかというと、そうとも言い切れない。

その逆で、ウォッシュトでなんだか煎りにくい豆を一度、乾燥させてから、焙煎するというのをやってみました。

2018クロップは高かったけど、それなりにいい豆だったのに、翌年はなぜか売れ残り気味で販社が根をあげて安く出ていた豆でした。確かに売れ残るだけあって、特徴が出にくいのです。思えばこの年は同じ産地で格安であちこちの販社で売りに出ていたような気がします。外れ年だったのかもしれません。

これは失敗したなと思っていたのですが、いろいろ試してみると、やっとそれらしいフレーバーらしきものが出てきました。

もう完全にテスト用にしようとおもっていたのですが、これなら、銘柄を表に出してお分けしても良さそうです。手間はかかりますし、半分近くテストで消費した後ですので、安く入手できたと喜んでいられないのですけど、引き出しが一つ増えました。

ただ、同じテクニックを別の産地の豆に試しても逆効果でした。

微差圧計をしっかりとした台に取り付けようと思っていまして

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スタンド

知人が木材で綺麗に作ったりしていまして、対抗するわけでもないんですが、自分の場合は、シンプルに金属で作るつもりでおりました。ところが、正確に必要な大きさの穴を開けるのが手持ちの工具だとちょっと大変そうだったので、とりあえず桐の箱に入れ込んでいました。

しかし、あまり軽いといろいろ不都合なので、少ししっかりしたものを作ってみようと思って、試作してみました。取扱説明書の図面はほとんど参考にならなかったので、実物を睨みながら、ああでもないこうでもないとやっていて、やっと材料にほとんど傷をつけないでうまく、作業出来る方法が見つかりました。

ついでに何種類か試しに作ってみようと思います。

焙煎中の排気操作

しっかりとした考え方で設計された焙煎機が適正に設置してあれば本来、排気はほとんどの場合、固定であるべきで、修正する必要はないはずです。ある意味、焙煎機の性能の前提条件すなわち、温度センサの数値やバーナーの燃焼の土台を支える基本的な物理条件であり、そこに無用な変化が生じるのは好ましくないはずだからです。

そして、業務用の道具を設計するとすれば、無用な操作は最小限にするのがむしろ当然です。

焙煎が適切に行われる条件はそんなに広くないのです。焙煎のステージのごく最初の十数秒ないし、数十秒を除外すれば、豆が触れる熱風の温度は、せいぜい215±15度程の範囲に収まっはなければなりません。測定方法や焙煎スタイルによって生じる誤差や焙煎機の構造による差異を考慮して広めに見たとしても、160〜250度※程度の範囲に収まっていなければならないのです。

もちろん、ごく短時間であればこの範囲を離れても問題はありません。極力この範囲を外れないようにドラム内の豆が触れる部分の温度にムラが起きないようにしなくてはならないのです。

それでもあえて排気を修正するとするなら、火力とのバランスが変化したことによって生じる、熱風の温度変化は極力抑えなくてはなりません。その点で見れば焙煎量よりもどちらかというと、火力に応じて操作するという考え方を基本としなくてはならないのです。

その他の理由で操作する場合も、原則、熱風やドラムの温度の変動をキャンセルする方向に操作しなくてはなりません。

豆の量以上に直接絡む関係が排気と火力のバランスや熱風や窯の内部の温度との間に成立しているのです。そして、その関連性は焙煎機の基本的な特性そのものでもあります。(排気の量とは直接関係しないものの、焙煎の進行に伴う豆温度の上昇に合わせて、熱風の温度を緩やかに上昇させることができれば、さらに理想的です。これはまめに伝わるカロリーに無用な変動が生じないという意味で大切な条件のひとつとなりえます。)

そして、特に深煎りの世界に入り込んだ場合など、この考え方を少し拡張する必要が出てきます。より正確に言えば、火力、でなくて、窯の中で発生している熱量に呼応した排気ないし、空気の流れを確保する必要があるということです。

少し、焙煎の進行に応じて考えてみようと思います。

たとえ焙煎量が倍に増えても、焙煎の開始時点で倍のカロリーを発生させる必要などはありません。例えば焙煎時間が伸びるのを許容すれば少し投入温度を上げるだけでも事足りるかもしれません。(まったく同じ焙煎はできないわけですが、そもそも焙煎量が倍以上になっても、少量の場合と近い焙煎をしたいなら、焙煎機そのものをより大型のものにすることを先に検討すべきです)

この時、排気を豆の量に応じて上げる必要が本当にあるかというと疑問です。

最初の数分間の温度上昇はかなりの割合で蓄熱の力によるものです。排気を上げるというのはせっかく蓄えられた熱をそっくりそのまま排出してしまうという結果になりかねません。

この場合、もし排気を少し上げるとしても、気持ち程度にしておいた方が無難とは思いませんか?

豆の冷気でドラムの内部が冷やされているわけですから、バーナーを消している場合排気しても、真っ先に排出されるのは相対的に軽い釜の中の暖かい空気で、豆から出た重たい冷気はドラム内に残るでしょう。そういう意味ではむしろ排気は閉じて熱気を閉じ込めた方がいいかもしれないくらいです。バーナーをつけている場合も、その生じた熱気がドラムに入り込むのに必要な最小限の範囲で排気をコントロールすべきなのです。ですから焙煎量が増えても、かえって排気を絞るという選択肢があり得るのです。(どんどん大量の熱風を押し込むように送り込むことのできる熱風式とは真逆の発想が必要かもしれないということです)

おそらく焙煎の前半に通称蒸らしと呼ばれる工程を設けようとされるのは、このような考え方をさらに発展させたものでしょうが、実際には蒸らしているわけではないはずです。(このことは後述したいと思います)

次によくされるのは1ハゼの前後で水蒸気を抜く目的でダンパーを開くという行為です。

これ、意味がないとまでは思いませんが、少なくとも蒸気を抜くためというのは逆の表現であるといわなくてはなりません。確かに1はぜ前後は水蒸気の圧力で窯の内部は陽圧方向に振れます。そのために、もともと排気がギリギリならば、バーナーで発生した熱風がドラムの中に入り込めなくなってしまうはずです。これはまずい。ということで早めに空気の流れを確保する目的で、空気を通すために、排気を上げる、確かにこれは重要です。

でも、ここで思いっきり排気を上げるとそれだけ水分が抜けるかというとそんなことはありません。乾燥逆転温度というものがあり、おおよそ140度を超えるくらいから湿度は100%に達すると豆の内部は乾燥しやすくなるのです。ヘルシオと同じ原理(過熱水蒸気の作用)です。ですから、過度に排気を強めるのは逆効果になる可能性があります。それとタイミングを間違えると熱風の温度が急上昇して、ハゼが暴発したかと思ったら、しばらくして(本来ならもう少しハゼさせたいところなのに)落ち着いてしまったりといったことになりかねない。

次に2ハゼ開始後について考えてみましょう。2ハゼで排気を上げないと煙臭くなるから、排気を上げるといわれる方がいらっしゃいます。そんなことはないと思います。

事前に充分に火力を絞っていれば、排気を上げなくて済む場合の方が多いかもしれません。

この時、どのようなやり方で、どの程度排気をコントロールすべきかといえば、豆の発生するカロリーと燃焼室から流入してくるカロリーおよび窯の蓄熱の3つの総和に応じた排気を確保する。すなわち空気の流れを作るということです。

特に2ハゼ後半まで持っていきたい場合、火力の調整で間に合わないと思えば、焙煎量に応じた積極的な排気の調整が確かに必要になるでしょう。

この点だけは、しっかり豆の量に応じた対応が必要になるのは間違いありません。

でも、豆の量に比例するような操作が仮に必要となるとすれば、主に2ハゼ開始以降がメインでしょう。あと、あえて言えば、元々排気を絞り気味で行った場合、1ハゼの前後です。

どちらも、水蒸気を逃がしたり、煙を逃がすためでなく、バーナーで発生した熱量がしっかり流入するのを助けたり、特に2はぜの発熱反応によって生じる窯の中の余剰なカロリーを調整するのが主たる目的と捉えなくてはなりません。これはアロマの調整以前の問題なのです。

特に深煎りの場合、バーナーの調整だけで間に合わない場合は、2ハゼの後半では流入する空気で積極的に豆を冷やすという考え方が必要かもしれません。

なぜなら、2ハゼの最中に豆の中は250度を超えるすべてを焼き尽くす高温に達する可能性があるからです。他を犠牲にしても、なんとかこれだけは避けたいとところです。

と簡単に書いてしまいましたが、これは実はかなりの綱渡りです。もともと絞り気味であったら、いきなりダンパーを開けると却って高温の熱風がドラムに流入して2ハゼは暴発してしまいます。かと言って締めるのは豆の内部の熱を篭らせてしまいますし、この内部が高温になった状態のまま酸欠状態に置くと好ましくない。結局先読みして、早めに事前に排気を上げつつ、火力も絞っておかないとうまく行かないかもしれません。

ただし、この豆の内部の温度を上手にコントロールできた場合、本当の深煎りらしいフレーバーなり、アロマが得られるでしょう。

そして、深煎りを追求するなら、やはり、後半のどこかのタイミングで排気が絞れるだけ絞った方が好ましい結果が得られる可能性があります。

※この吸入温度は熱風式など、ドラムに流入する熱風の温度をドラム内の冷気にまったく影響されない状態で測ることのできるタイプの焙煎機の場合はプラス50度程度、最高280度から300度近い温度で表示されるでしょう。しかし、この場合も実際に豆が体験している温度というものが測れるとすれば、もう少し低いのではないかと思っております。なぜなら、正常に焙煎が進んでいる条件では隣り合う豆の発散する冷気ないし、水蒸気でお互いが冷やされ続けているからです。

artisanばかりに頼れず。HIOKI 10+2chデータロガーへ

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ガス圧は10分の1


該当部分はビジュアル的にあまりにしょぼいので写真は自粛。

でも長年の懸案、というより悲願に近かった火力の入力をデータロガーで記録できるようにしました。自動で記録されるわけではないので、火力操作する前に忘れずポテンションメータのつまみを回しておかなくてはなりません。

なかなかなれず、忘れてしまいます。artisanの方のボタンも押さなくてはならないので、ちょっと忙しい。できればどちらかに絞りたいものです。なれたら、aritisanの方はやめられるといいんですけどね。

すでにドラムの回転数とファンの周波数はデータロガーのパルスカウント入力に入れていましたから、aritisanは豆温度等の表示にだけ使って、基本的な記録は日置のデータロガーで残すということもできるようになりました。

なるべく焙煎機のそばから離れたくないし、ほぼ同時に火力とドラム回転数と排気を変更したい時もあるので、なるべく、記録はパソコンに依存しないで、データロガーだけでやりたいと思っていました。

完全にアナログ的な方法でとてもシンプル。アイデアは1年以上前からあったのですけれど、自動で記録したいと思って無駄にこだわっていたために、今日になってしまいました。

部品代も大したことなく、ほとんど1日かかって作業することにはなりましたが、早くやっておけばよかったです。

自分で操作するのを忘れなければ、消えることもなく、ほぼ確実に記録できます。それも小数点以下4桁まで無駄に標示されますので、0.0001Pa単位で記録できてしまいます。手書きの目盛りを頼りにおおよそ合わせただけて、0.1paもずれないので、実用性は十分でした。

10000kcal/h VS 1.5㎏ マンデリン

さすがにカロリー不足感は解消し、深煎り目的だったこともあり、 1.8kpa以上に火力を上げる必要もありませんでした。

むしろ、意識して排気を過剰気味に持ち込んで調整したくらい。

結果は、思ったより操りやすかったのですけれど、ドラム回転数を上げたこともあり1ハゼは200度台になってしまったり、わかっていても戸惑ってしまいます。通常はこの焙煎機の1ハゼは185度前後でなければなりません。特殊な焙煎に挑戦しているとはいえ、予想外の部分もあり、ぱっとしない感じです。それでも十分に普通のコーヒー感はありますし、スタンダードと違って、それなりにマンデリン感もありまして、悪くはないのですが、狙い通りとはいきませんでした。

少なくとも深煎り目的なら1万カロリーは1.5kgでも過剰なようで、せいぜい8000kcal/hあれば困らなさそうです。むしろ6666kcal/hあたりに落とした方が、調整しやすくて、よさげです。

1バッチごとに、6666、8333、10000と変更できるようにしようと思いついたのですが、またまた部材が届くのは来週になる可能性がありますので、何とか間に合わせの方法でテストしてみようと思いますが、どうなることやら。

1.5kgの焙煎に…挫折?

この焙煎機でのこれまでの焙煎のベストは2,5キロで小粒のナチュラルの豆を焼いた場合ですが、スタンダードっぽい焙煎にどうしてもなってしまいます。それ以外はコーヒーとしては評判は良くても特徴の薄い意図しない長時間焙煎になりがちでした。

そのほか500gあたりの少量で深めに焙煎したり、1キロ前後で焙煎してそこそこ良かったものさえ、電気でサポートしたりしていましたし、結構きわきわなのでした。8バッチくらい連続してやっと電気と併用して炒ったりしても、どうも冴えない。特にウォッシュトの場合、2度炒りした方が受けがいいといった状態でした。

バーナー周りを見直して少しマシになったような気もしたので、これまでどうしても上手くいかなかった1.5kgの焙煎を試してみましたが、撃沈。

投入温度を上げて、ぎりぎり全開まで使っていけば、そこそこスタンダードっぽい焙煎はできるかもしれないとも思ったのですが、そういう焙煎をしたいわけではありませんし、いまのところ、どうもうまくバランスが取れそうにありません。

ある方がフジロイヤルの3キロで焙煎するなら一キロまでがベストと言われていたのは、本当だと思いました。その方は多分最新に近い半熱風で増強したバーナー前提でおっしゃっていたのではないかと思いますので、この焙煎機で試すとしても、バーナーを最大に近く増強した状況でもう一度だけにしておこうと思います。

バーナーを絞った段階でも充分な火力が発生しており、予熱もスムーズに感じるのですが、上手く豆にカロリーが伝わっていかない感じで、かといって、火力を上げると、油ギタギタになりやすく、排気を下げても、曇ってしまう、という状態は変わりませんでした。

このあたりは焙煎機の素の特性として受け入れた方が良さそうです。

というのは、どうもバーナーの先端が当たっているドラムの部分だけがそこそこ熱くて、絞っても変わらない。直火ならこれが個性につながるかもしれないですが、変熱風。いや、半熱風の場合、豆がギタギタになるだけなのです。

火力を下げても炎の先端はついたまま。しかも熱風の量と温度は不十分。

本来なら適正なところまで火力を上げても、1、5キロあたりだとまだまだほとんどの熱風は豆の上をすり抜けて排気に回ってしまう。そこで絞ると今度はくもった感じになりやすい。すぐに熱風が必要以上に高温になってしまうからです。かといって同時に火力を下げると、今度は長時間焙煎に。ドラム全体が温まりにくい上に熱風自体にもムラが生じて全体として伝わるカロリーが不足気味になりやすい。

ごく少量の時はバーナーの先端で過熱した部分を避けて回っているために上手くいくようです。しかし焙煎が、量が増えるほど難しくなってゆく。といった関係があるようなのです。標準バーナーを使用する限りこの条件からは逃れられない。その点、最大焙煎量近く入れた場合なら、大量の豆の潜熱で、なんとかその過熱の影響を逃れられるものの、今後は火力がぎりぎり、なんとか熱風がまめに触れる確率が上がるために、効率が上がって、ナチュラルや乾燥気味のパルプドナチュラルでは間に合うこともあるが、それ以外は全滅。そういうことのようでした。

DRY END ゴールデン、イエローというタイミングが重視されるわけとスペシャルティの焙煎

焙煎機の熱電対の取り付け方によって温度表示は変わるものの、おおよそ160前後で豆は色づき始めます。その時の(表面の)乾燥の色具合は豆の品種や精製方法によって全く違って見えるので、判断にはそれなりに慣れが必要と思いますが、そのポイントが重視されるのは1ハゼが十分進行した時点で豆全体にむらなく熱が行き渡って終了するために重要なポイントと見做されているからでしょう。

特に1ハゼの終了前に終わるスタイルの比較的短時間の焙煎の場合は、(短時間で焙煎を終わらせようと思えば思うほど)焙煎の前半は豆が受け止められる範囲で最大に近いカロリー(蓄熱+火力)をかけるべきです。

そして、もし、そこから、160度あたりを超えても、何もせず、焙煎を進行させるなら、RORは上昇を始め、あっという間に、時を待たずに1ハゼが始まります(ハゼの最中はRORは下降しますが通常はそこは火力を上げて対応するなどします)。

このような条件ですと、豆の中間の芯と呼ばれる部分で充分に反応が進まないままに焙煎が終了してしまいます。

ですから、表面近くが乾燥して反応がいい具合にはじまったなあ、と思ったタイミングで少しスピードを緩めて1ハゼまでの間隔をとる。そこで緩やかに中間部分に火が通り全体がいい塩梅で仕上がるタイミングを狙うわけです。結果、RORはさほど上昇せず、平坦に近くなります。

そこから、1ハゼのタイミングの水蒸気の大発生に必要となるエネルギーを供給する目的で再度火力をあげるわけです。

でももともと乾燥している柔らかい豆で小粒だったら、初期の火力があまりかけれないので、中間で火力を落とす必要がないケースもあるでしょう。むしろ尻上がりに火力を上げざるをえないことさえありえます。

逆に水分が多く密度の高い豆であれば充分に緩急をつけないと均一な仕上がりにできないかもしれません。

その場合はRORを平すということ以上にしっかり火力コントロールしてあげた方が結果はいいはずです。豆温度センサのRORと豆の内部の状態にはそれなりにタイムラグやずれがあるはずですから、急な操作でそのずれが大きくなる条件であるとすれば、むしろ、見かけのRORにとらわれず、思い切って、いくべきでしょう(このあたりは焙煎機によって異なる可能性ありますが)。

ということで、スペシャルティの焙煎においては、スタンダードな焙煎よりも圧倒的なカロリーが求められるのはこういう側面があるからだと思います。

※ここで説明した焙煎の進行パターンは豆の量がメーカーのいう標準焙煎量に近くなると当てはまらない部分が大きくなると思います。また使用される焙煎機によっても相当違いがあります。

DRY ENDとは

aritisanにはドライエンド(乾燥終了)という概念が導入されています。160度超えた頃には豆が色づき始め、それから、しばらくすると、RORがそれまでと違ったペースで上昇し始めたりもします(火力が有り余っている方の場合など特に)。

果たして、この乾燥終了という概念は正しいのでしょうか。

日本で古くから焙煎しているかたの場合ですと、しっかり水抜きをするとおっしゃられて、1ハゼの前後の水分が豆から出てゆく姿を見せてくれる人がいたりします。

その方にとってはしっかりハゼさせることが水抜きするということらしかったのです。

現実には水分のかなりの量は1ハゼの前から加速度的に抜けてきて、ハゼの前後で相当量が放出されるようですので、160度前後でDRYENDと呼ぶのは少なくとも表現としてはあまり正確ではありません。その点では昭和の日本の自家焙煎店の感覚の方が正しいといえるかもしれません。

例えば、火力の掛け方によって、ドライエンドとかイエローとかゴールデンと呼ばれるタイミングから1ハゼの間のどこかで、わずかに温度上昇率が上がってくることがあるのは、一般的に言われているように、水分が十分に抜けたからではないとくろちゃまめは捉えています。

いわゆる、ゴールデン、イエローといった状態。確かに色づいて乾燥しているようにも見えるかもしれませんが、それは表面に近い部分だけのこと。豆温度センサ(熱電対)に触れる表面に近いところで徐々に化学反応が起きやすい条件が整ってきていることを示しています。それらの反応は全てではなくてもおしなべて発熱反応なのでしょう。このとき、豆全体で見るとむしろ乾燥はようやく中盤に差し掛かったばかりといってもいいくらいです。

それでも表面近くで乾燥が進んでコーヒーの中で化学反応が進行しやすい条件が整ってくるから、しっかり色がつく。温度上昇率もわずかに上がる(かもしれない)。これは自然な成り行きです。(これを後から抑えようとするのはそれ自体には意味がない。前半の火力を抑えたほうがよかった可能性はあります。)

そして、そこからしばらくして、豆のセンターカットの裏側の空隙に充分にカロリーが伝わって、液体の水が1800倍近くに膨らんで水蒸気になるために必要なエネルギー+αが蓄えられた豆から、1つずつ順番に1ハゼが起こります。そのとき、急激に発散される水蒸気の気化熱によって、RORは放っておくと、急下降してしまいます(ハゼさせる最小限のカロリーしか受け取っていない場合特に)。

通常はそのまま腰折れ(クランチ)してしまうのを避けるために、少し先読みして、事前に火力を上げるなどして対応することになります。もしくは、それまでの経緯で十分な火力が伝わっていると思われる状況でも1ハゼの開始前後は火力を落とすという選択肢はまずないでしょう。(プロバットなど蓄熱性が高いとされる焙煎機の場合は、また別の話になるかと思います)

ただ、あまりに1ハゼが激しすぎるとそのままの勢いで破綻してしまうケースもあります。そのときは、1ハゼが始まってからの様子を見てから、若干火力を調節するというケースはあると思われます。その場合も、あまり急に絞ってしまうと、せっかくの1ハゼのタイミングを外してしまいますので要注意です。

1ハゼは必須とまでは言い切れませんが、自然にハゼさせる力がない状態のまま焙煎を進行させても、例えて言えば、ブレーキをかけたままゆっくりアクセルを踏んで無理やり走っているような不自然な状態が長く続くだけで、良いことは一つもありません。車なら無駄にブレーキを摩耗するように、豆の中の有効成分を無駄に消費する結果に終わったり、未反応のプロセスが残って不完全感のある焙煎になるでしょう。

1ハゼ開始以降にしか反応が進みにくい部分が豆の内部に存在するからです。特に浅煎りを短時間であげようとすればするほど、1ハゼが進行している最中に素早く反応を進ませるために、火力は緩めるわけにはいかないのです。

いずれにせよ、ドライエンドと呼ばれるポイント、もしくはイエローとかゴールデンと呼ばれるポイントが焙煎中の重要なポイントの一つを表す表現であることに異論はありません。

ドラムモーター交換の際の注意点

やっと三キロのギャップの調整の仕方がマスターできまして、下側で計測して0.45〜0.5mm程度に追い込むことができました。(結局、ダイヤルを戻して、下側のギャップは0.8mmぐらいに戻しました。あまりギャップが狭いとフロントパネル側からドラムに流入する熱風が減って焙煎に影響するようです)上は0.95〜1.0mm程度で左右の誤差は冷間時で0.1mmを切っています。熱くなると、拡大するか、狭まっているかは、熱くて測れないのでわかりませんが、200度台の後半まで温度を上げて何度焙煎してもまったく異音がしなくなりました。またこれまでは10バッチごとくらいにグリースを補充しないと、公園のブランコみたいな、かすかな擦れ音が時折していましたが、それもほとんどしなくなりました。

フロントパネルの内側のタールをしっかりこそぎ落とした後計測すると、もう少し狭く測れるかもしれませんが。これが限界。上側にはほとんど豆が滞在することがないので、真ん中の辺りで1mmを切っていれば小さい豆も入り込む隙間がなくなりますから、これで十分。冷却器の中で潰したりしない限り、焙煎機の中でロスする豆は一粒もないくらいにできました。

焙煎前にハンドピックしていれば、焙煎後に取り除く豆はほとんどゼロに近くできますし、焙煎で生じるムラ自体も極小になりました。

この作業は繊細というよりコツがいるのと慣れていないとそれなりに時間がかかってしまうので、業者に任せた方が無難かと思いますが、休日に突然の故障でやむなくドラムモーターを交換したり、といった状況に陥る方もいらっしゃると思いますので、その際の注意点をまとめておきます。

三キロの場合、ベルトのテンションが適切にかかる位置にモーターを取り付けた状態でちょうど良い場所にドラムが収まるように工夫されています。

そのため、ドラムモーターを交換される場合、元々モーターがついていた場所からずらすことのないようにしっかりマーキングやテーピングをして場合によっては写真を撮るなどしてずらさないようにすることが大切です。

モーターが土台に取り付いているボルトの位置までしっかり合わせた方がいいでしょう。ダイヤルを動かさず正規の位置で真横から見て上下プーリーとベルトが垂直に付いていれば横方向から見た位置はOK。

より重要なのは背面から見た位置です。たまたまドラムモーターの土台が傾いて取り付いて見えるかもしれませんが、(それまで問題なければ)これをきちんとまっすぐ直そうとか一切思わず、そのまま1mmどころかなるべくキッカリ正確に、0.5mmもずらさずぴったり元の位置に取り付け直すことが重要です。

ベルトを外した状態だとドラムがどこかに接触してスムーズに回らなくなることがあると思いますが、ベルトのテンションがかかった状態が正常ですので、このことは気にせず、モーターを交換した後、ベルトをつけなおせばまったく再調整の手間をかけず、交換完了できるはずです。